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同調率99%の少女(8) - 鎮守府Aの物語

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--- 5 艦娘になってしまった少女




 その日、内田流留はいつものように休み時間には同じクラスの仲の良い男子生徒たちと、昨日のテレビがどうの、最近プレイしたゲームはどうの、好きなプロサッカーチームの試合がどうだっただのペチャクチャと話していた。そうして気の置けない男子とおしゃべりをしている時間は、彼女にとっては空気を吸うかのように自然で気楽に過ごせる時間である。
 彼女にとって、同性つまり女子同士のおしゃべりや交流は退屈そのもの、面倒くさい人間関係を考慮しなければいけないので窮屈だった。趣味が合えば話さないこともないが、そんな女子はいた試しがなかったので極力かかわらないようにしている。その点男子生徒は、気軽に趣味のバカ話だけでどこまでも接することできるし、流留を受け入れてくれる。相手がどう思っているかは彼女にとって関係ない。あくまでも自分が楽しくて、自分を受け入れてくれる関係がそこにあればいい。

 成績はよくないが身体を動かすこと、スポーツは見るだけでなくやるのも好きで得意な彼女は、部には入っていないが、応援と称して仲の良い男子生徒の助っ人として臨時で入って参加することもしばしばある。趣味の話が合うだけでなく、そうした助けを求めてくる生徒を助けてあげる飾らない素直な行為は、男子生徒たちの心を掴むようになっていた。助けるのはあくまでも気の合う生徒たちである。
 それゆえ男勝りな娘だとかサバサバしてるなどと評価されることがある。が、決して男子そのものの立ち居振る舞いというわけではなく、女であるのでそれなりにオシャレにも興味はあるし、人に不快に思われない程度には身だしなみには気をつける。しかし必要以上のオシャレはしない。そうして取捨選択したオシャレが結果的には他人から見るとセンスが良いという評価をくだされることもある。
 が、あくまで流留としては必要以上の女性らしさを演出したりはしない。

 彼女を巡っては女子生徒・男子生徒の間で思いのすれ違いや一悶着があるのだが、流留は気にしないし、そもそもそういうのに疎いので気がつかない。そういう鈍感さが彼女の見えないところで多々問題を起こしているのだが、彼女がそれを知る由もない。


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 午前の授業が終わりお昼。いつも彼女は仲の良い男子生徒たちと学食に行き、お弁当を買って教室に戻ってきて食べる。教室には他の派閥的なグループもあるが、表面上は互いに気にしていない空気がある。

 流留は数人の男子生徒と会話を楽しみながら食事をする。話題はサッカーなどスポーツだ。
「……でさ〜その新しく入った○○選手、あたしは最近注目してるんだよね〜。Aくんはどう?」
「あ〜その選手いいよね。俺は××選手もいいと思うけど。」と男子生徒B。
「俺もその選手に最近注目してるぜ。その人、前は△△っていうチームでMVP取ったんだけど、内田さん知ってる?」
 男子生徒Bはそれなりの反応を返す。一方で同意を求められた男子生徒Aは流留の気をさらに引くために追加情報を教えた。
「えー!?マジで?ねぇねぇ!その試合見たかったなぁ〜」
 流留の反応を見て、これはイケると思ったのか男子生徒Aはさらに情報を口にする。
「俺その試合録画して持ってるからさ、今度内田さんに共有するよ。○○Driveのアカウント持ってる?」
「うん。」
「そしたらそこに動画アップしておくからぜひ見てみてよ。」
「Aくん、ありがとー!」
 流留はきりっとした目を笑みで緩ませてはにかみ、男子生徒Aに礼を言った。男子生徒Aは流留の気を引けたことでBに対してさりげないドヤ顔で誇った。
 昼食を取りながら雑談に興じる流留と男子生徒たち。そんなお昼休みの光景であった。