小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ドシャ降りだけど修学旅行決行!

INDEX|1ページ/1ページ|

 
修学旅行だというのに、外は大雨が降っていた。

じめじめした湿気に修学旅行で浮かれる気持ちは
一気になくなってしまうほどの土砂降り。

「先生、これで修学旅行にいくのかよ」
「どうせ楽しめないよ」
「はぁ、これなら家でゲームしたい」

イタズラ3人組は、ここぞとばかりに先生に嫌味を言う。
普段は怖い先生で怒られているので、一矢報いたい気持ちがあった。

「大丈夫だ。みんなついてこい」

先生に促されて向かった先は、
何枚もの油絵が展示されているアトリエ。

いくつものキャンパスが並び、そのどれもが風景画だった。

「それじゃ修学旅行先をみんな好きに選ぶといい。
 入りたい絵が決まったら、先生に連絡するんだぞ」

京都、東京、沖縄、北海道にまさかのハワイなどなど。
先ほどの消沈具合を吹き飛ばすように活気づく。

それぞれの生徒が思い思いの絵に入って、
観光名所をめぐったりしながら修学旅行を楽しんでいた。


イタズラ3人組をのぞいて。


その夜、イタズラ3人組は京都キャンパスから出て、
元のアトリエへと戻って来た。

「よし、先生はいないな?」
「女子が入ったキャンパス、覚えてるか?」
「もちろん」

3人には修学旅行を楽しむつもりなんてなかった。
とにかく女子の部屋に行きたいだけだった。

「よし、あったぞ」

1人がクラスで一番の美人が選んだキャンパス『北海道』を見つけてくる。

「この中に入れば、きっと女子の部屋にいけるはずだ」
「ふふふ、楽しみだね」
「よし行こう!」

3人はキャンパスに入ると、雪景色の北海道へとやってきた。
しおりに書かれている宿泊所までやってくる。

「○○中学のものですけど」

「ああ、それなら101号室ですよ」

「1部屋だけですか?」
「ええ、そう伺っています」

修学旅行なのに1部屋は変な気がしたが、
そこは中学生ならではの柔軟な発想が出てくる。

「きっと希望者が少なかったんだよ」
「ああ、きっとそうだな」
「数人しか北海道キャンパスを選ばなかったんだ」

いざ、女子の部屋へ。

部屋を開けると待っていたのは女の園ではなく、
無人の空き部屋だった。

「おい、誰もいないじゃないか!」
「窓の外にいるかも」
「ベランダにもいないぞ!?」

こんな寒い中ベランダに隠れる人もいないと思うが、
イタズラ三人組は窓を開けて雪降るベランダを必死に探す。

「どういうことだ? 確かに入ったんだろ?」
「ほんとだよ。確かに北海道キャンパスを選んでいたんだ」

「おい、こっちこいよ!
 部屋のキャンパスがあるぞ!」

部屋の奥にあるキャンパスを窓辺に並べる。

キャンパスには油絵の具で、ホテルの1室の絵が描かれていた。
どれも厳重に鍵が閉まっている。

「これってもしかして、女子部屋かな?」
「そうか、キャンパスの中に宿泊用の部屋を用意してたんだ」
「だから1室しか借りてなかったんだね。アトリエ部屋がいるから」

3人は納得していたが、問題はそこじゃない。

「っていうか、これじゃ女子部屋入れないじゃんか」
「絵を見る限り鍵が閉まっているし、俺たちは鍵を持ってないぞ」

「ふふふ、実はそんなこともあろうかと
 自前で水彩絵の具セットを持ってきていたのだ」

「「 お前、天才か!! 」」

1人のファインプレーにより、
女子部屋キャンパスのひとつに黒塗りの入り口を上描きする。

「ようし、これで中に入れるぞ」

3人は期待と性欲をたぎらせてキャンパスへ突入。
部屋の絵の中に入ると、横に水彩画で描き足した穴から部屋に入る。

部屋には女子のかぐわしい香りが満ちていると思いきや、
体育準備室のような暑苦しい匂いで満ちていた。

「お、おい。これって……」
「絶対女子部屋じゃないよな」

「これ、担任の部屋みたいだ。
 部屋間違えたみたいだ、早く戻ろう」

「いや待て。むしろこっちの方がいい。
 日頃のうっぷんを晴らしていこうぜ」

幸い、担任のゴリ松先生は大いびきで眠りこけている。

没収されていた携帯ゲームやらを回収し、
担任の顔にも油性で悪口を書いていく。

「油性って、あくどいなぁ」
「いいんだよ。水性じゃ水で落ちちゃうだろ」

「おい、ズボンも全部とっちゃおうぜ。
 明日、ゴリ松がパンいちで出てくるのが楽しみだ」

ひとしきり思いつくままのイタズラを実践すると、
最後に没収されたほかの生徒のケータイでアラームをセットする。

「これで一気にアラームを鳴らしてビビらせるんだ」
「後は一目散に逃げれば完璧だな」
「明日は寝不足でパンツ一丁の落書き顔ゴリ松が見れるんだな」

3人は「にひひ」とイタズラっぽい笑いをした。


3。

2。

1。


ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ!


携帯のけたたましいアラーム電子音が鳴り響く。

「よし! 逃げろ――!!」

 ・
 ・
 ・

雪の降る北海道。
101号室のアトリエに並べられたキャンパス。

開けっ放しの窓からは雪がパラパラと部屋の中に入って、
油絵で描かれたキャンパスを濡らしている。

もちろん、水彩絵の具で描き足された出入り口も
キレイに水で溶かされてしまっていた。


イタズラ3人組がそのことに気付くのは翌日。


翌日の朝には、ゴリ松に夜通し怒られ涙目になった
パンツ一丁のイタズラ3人組が全員の前に登場することになる。