小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「時のいたずら」 第七話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
幸いと言うか偶然と言うか杉村の実家は京都市内にあった。
河原町通りを二条通から少し上って(北へ行って)左に折れたところに優斗の実家はあった。名古屋市内の大学に通うため18歳で一人暮らしを始めていたから、もうかれこれ12年もこちらに住んでいたので京都言葉も消えていた。
ゴールデンウィークが終わって人気の源氏物語絵巻の特別展示は終了した。
そのタイミングで優斗は休みを取って藤と車で実家へ向かっていた。

「優斗さんが京生まれだったとは驚きです。なぜ言われなかったのですか?」

「別に関係ないし。藤が京都に居たと聞いたときに言おうとも思ったけど、後でもいいかとそう思ったんだ」

「藤はまた京に戻れることが嬉しいです。1000年もあとですから大丞様とお会いすることも無いでしょうから」

「そりゃないよ、幽霊なら解らないけどな。ハハハ~」

「怖いことを仰らないで下さい」

「可愛いじゃないか。何でも真面目に答えるんだなあ藤は」

「優斗さんが面白すぎると思います」

「そう?面白い?いいね。ウケ狙いはいつも考えていることなんだけどね実は。真面目に返されるとええ?って困ることがあるから、軽く受け流してほしいよ」

「仰らなければ宜しいのに」

「口が淋しんだよ」

「藤が針と糸で縫って差し上げましょうか?」

「おまえの方が面白いじゃないか!ハハハ~」

二人は顔を見合わせて大声で笑った。
車は名神高速の大津インターを降りて湖西線の走る道を北へ走り、比叡山ドライブウェイを上り延暦寺に立ち寄った。

「ここは知っているよな?藤も」

「ええ、もちろんです。わたくしの実家は天台宗ですから」

「なるほど。俺んちは何宗か知らないよ」

「そうでしたか。参拝するのは久しぶりです。周りの景色は随分変わりましたね」

「だろうな。ここは信長が焼き討ちして再建されたから、藤が知っている本堂とは違うかも知れないよ」

「誰が焼き討ちしたというのですか?ここは仏門ですよ」

「戦国時代という今から500年ほど前に現れた織田信長という武将が、明智光秀に命じて火を放って本堂からすべての伽藍を焼失させ、そこに居た僧侶と僧兵と一般人を殺した。無法を征伐することは祟りがあるとの恐れから寺のわがままを許してきた歴代の武将と信長は違っていたんだ」

「恐ろしいことを・・・なぜそのようなことが行われたのでしょう?」