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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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夢見る寂寥

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寂寥に心が芯から冷え切ってしまうことがある。
作品が埋もれるのが怖いのだ。
そんなの、投稿なりなんなりすればいいと思う向きもあるだろう。
だが、わたしの「物」は「かする程度」でなんにもならず、
一度などは手痛い失敗をした。
経験は苦く、投稿を渋るようになってしまった。
その苦さは寂寥を呼び、さらに心を冷えびえとさせるのだ。



床を拭きながら、トマトを煮ながら、ふと考える。
「あれらはみな、埋もれてしまうのだ。埋もれたまま、死ぬのだ」
物を創る多くの人は、そういったおそれを持っているかもしれない。
なんと自意識過剰な悩み事だ!
恥ずかしい、なのに恥部をさらしてる。
愚かなことだ。
いけない。今夜は気持ちが落ち込んでしまってる。



恐れや恥を忘れるために有効なのは、やはり床を拭いたりトマトを煮る事だったりする。
体を使う作業が脳のいらん働きを止めてくれることは大いにある。
中でもやはり、物を創ることが一番だと思う。
折り紙でもいい。
コラージュをするのでもいい。
部屋を飾るのもいい。
でたらめにピアノを弾くのもいい。
創れ。創れ。創れ。手はほんらい何もかもを創りだせる。



入院中、全身全霊を浸した寂寥を、どうしたのか思い出す。
とにかく、廊下をばかみたいに歩いた。
ダイエットの意味があったのだが、音楽を聴きながら果てしなく続く廊下を行ったり来たりすることで、心の麻痺が取れ、体は温まった。
結果1カ月に10キロ痩せ、鬱に落ちていた心は一挙に上昇し花開いた。
(これはこれで、躁転という危険なのだが、気分は最高だった)


動け。
退院してからわたしは自費出版で本を出した。
失敗というのはこれ。何しろ法外な値段だったから。
ただ、長年書き続けていくことがなんのためだったのか。
その時にはわかってた。
そうだ、わかってたのだ。
自分のため、そして自分のような精神を病んだ人々を笑わせたいがためだと。


うん。


解決しました。
また書きます。
作品名:夢見る寂寥 作家名:青井サイベル