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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第十七話

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「みっちゃん、今日はおめでとう。まだ若いからこれからだよね。おばさんも嬉しいよ」

そう言われてちょっと恥ずかしく感じた。二度目だからという訳ではなく、父と母が大仰な態度をしているからだ。
彼はきっと両親を見て恐縮するかも知れない。それも申し訳ないと思える。

約束の11時が迫ってきた。
玄関に車の停まる音がした。ドアーを開けて彼の車を確認するとそのまま降りてくるのを待っていた。

大きな花束を抱えて黒のスーツ姿の彼は今までで一番格好良いと感じた。心がトキメク。
玄関を入ってすぐに母にその花束を渡した。
その時に「お母様にお渡ししたくて持ってきました」と言ったのだ。
母は感激していた。

これほどの気遣いは彼には常識なのであろうか。
父と顔を会わせて深々とお辞儀をして、

「このたびはお忙しいところお時間を戴きまして本当にありがとうございます。初めまして、笹川謙一と申します。これはご挨拶に持参いたしました」

そういうと、風呂敷包みから祝儀袋に入った現金らしきものを手渡した。
父がいぶかしそうにそれを眺めていると、

「大変失礼を承知でこのたびは結納という形でお持ちしました。美津子さんには話していませんでしたが、正式なお約束を引き受けて戴けるために考えてこうさせて戴きました。是非わたくし笹川謙一との結婚を認めてくださいますようお願い申し上げます」

今一度深く頭を下げた。

ちょっと驚きの表情をしていた父は座るように指示して、父と母、私たち二人が向かい合って着座した。

「笹川さん、娘からは詳しくは聞いていないんだけど、このようにご丁寧なあいさつをして頂いて恐縮だよ。きちんとされていることに驚かされた。きっと娘は幸せになれるだろうと信じるので、よろしく頼むよ。
預かったものは娘のために大切に使わせてもらうよ」

そう言った父の目から涙がこぼれた。
初めて見た父の涙に美津子はもうただ泣くだけに変わっていた。

「今日からは何があっても美津子さんと手と手を携えて生きて行こうと思いますのでご指導とご鞭撻をよろしくお願いします」

笹川の言葉には一点の濁りもなかった。
注文していた寿司が届けられ、歓談をしながら昼食を済ませて、少しお酒が進んだ父は上機嫌で玄関先で笹川を見送った。