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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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測量戦隊!ハカルンジャー!

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測量戦隊!メジャー!

「ふははは! 来たな測量戦隊!
 今日こそ全員地獄に送ってやる」

「そうはさせるか! ピンク!」
「わかったわ、レッド!」

コンビネーションばっちりの二人は、
メジャーの両端をつかんですぐさま測量する。

「ボウリングレーンの幅……1m66cm!!」

「グアァァァァ!」

必殺技の測量で今日も世界の平和が守られた。
ありがとう測量戦隊。ありがとうヒーロー。



「勝ったと思っていたのか?」


必殺技で倒したはずの敵は、
むくりと起き上がり、それどころかまるでダメージがない。

「な、なに……!
 確かに測量は効いているはず!」

「私とレッドの測量が効かないなんて……!」


「フハハハ! 貴様らいつも同じ測量ばかり!
 だから、事前にこの世界に存在するありとあらゆる長さを
 この頭に叩き込んでいるのだよ!」


「な、なんだって!?
 それじゃ僕たちの測量は……!」

「かまうこたぁねぇ! もう一度測量だ!」

イエローの物言いに、レッドとピンクは再び測量を行う。
いくら調べてきたといっても、マニアックな測量は効くはず。

「ビデオテープの横の長さ……10cm!!」

「効かんなぁ! それも調査済みだ!」

「にっ、人間の血管の長さ……9万7千キロメートル!」

「無駄だ、無駄だ!
 すでに知っている測量を語ったところでダメージは入らない!
 さあ、死ね!」

敵は強烈なビームを放つと、ブルーと茶色レンジャーを倒してしまう。

「ブルー! ブラウン!!」

「ごめんな……あとは任せた……」
「なんで……自分だけ……変な色……がくっ」

「よ、よくもブルーと茶色を……! 許さない!」

「許さない? 許さないとどうなるんだ?
 さあ、測量してみせろ。もっとも意味はないがな!」

レッドは燃えたぎる復讐心をぐっとこらえ、
今の状況を冷静に分析した。

敵はこの世の森羅万象あらゆる寸法を測ってきている。
なんなら、スマホでも取り出して長さを調べ
こちらの必殺技を無効化する気満々だ。さっきからLINEしてるし。

「いったいどうすれば……!」

「レッド……」

心配そうに見つめるピンク。

彼女のためにも負けるわけにはいかない。
これから生まれてくる新しい命のためにも。

「……そうだ! わかったぞ!
 貴様には絶対に測量できない長さが!!」

「バカなことを! 測量できないだと!?
 あらゆる寸法を調べてきたといっただろう?」

「だが、これだけはわからないだろう」

レッドはメジャーの端を自分の心に、
もう片方をピンクの心へと渡した。


「俺とピンクの心の距離……1m!!」


「ぐあああああ! バカな!?
 そんな測量があったなんて……!!」

いくら物理的な測量情報を知っていたところで、
この長さだけはどこをどう調べてもわかりっこない。

確かな手ごたえを感じ、敵は仰向けに倒れた。

「一度使った測量はもう使えない。
 君との心の距離も、これでもう測ることはできないな」

「いいのよ。お互いの心の距離なんて、私たちが一番わかってるじゃない」

放送時間の終了が迫り、画面下にスタッフロールが流れる。
エンディングテーマも流れ始めたというのに……


「ま、まだだ……まだ負けんぞぉ……」


敵は這いずりながらも、まだ闘志を燃やしていた。

「くそっ! なんてしぶといんだ!
 もう測るものはないのに!」

「オレにまかせなぁ!!」

イエローはレッドからメジャーを受け取ると、
レッドが行ったように心の距離を測量した。


「オレとピンクの心の距離……10cm!!」

「グギャアアアア!!」

イエローのとどめの一撃で、今度こそ敵は消滅した。

測量戦隊のおかげで、悪の組織はついに壊滅。
世界は変わらぬ平和をいつまでも続けるのだった……。


- 完 -





「え、なんで、恋人の俺より
 イエローとピンクの心の距離が近いの!?」

ただし、レッドだけは平和じゃなかった。