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てっしゅう
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「父親譲り」 第十二話

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ランチを食べて用事が出来たからと嘘をついて待ち合わせ場所まで送ってもらい、笹川と別れた。

その足で沙代子に電話して夕飯を一緒にと誘ってみたが、彼女は都合が悪いと断ってきた。
家に帰って来て珍しく母親が風邪でも引いたのだろうか伏せっていた。
父親は移るといけないからと別の部屋で本を読んでいた。多分そこで寝るつもりだろう。
薬を飲ませて早めに寝かせた母は寝汗をかいていたので、下着を替えようとタンスの引き出しを探した。

父のパジャマが入れてある引き出しに見たことがあるようなものが隠されていた。
上から順番に開けて調べていたから偶然発見したのだ。
母の下着類は一番下の引き出しだった。
沙代子が持っていた最近の代物ではなく、電池ボックスがコードで繋がれている昔からありそうなオモチャだった。

それを見たとき、自分が高校生ぐらいの頃からきっと父はこれを使って母と楽しんでいたんだろうと想像した。そして自分が帰って来てからも時々聞こえる夫婦の声は、父が精力的なのではなくこれを使って楽しんでいたから毎日のように出来ていたんだと考えた。
だとすれば父は何らかの理由で不能になっている可能性がある。
母はそのことが私には言えなかったのであろう。

以前に夫婦のことを聞いたとき、お父さんが好きなようにしてくれればそれでいい、と言ったのは父を憐れんでの言葉だったに違いない。
急に母が辛い思いをしてきたんだと感じられた。
それは自分が楽しむのではなく父の一方的な行いで終わってしまっているだろう我慢に思えるからだ。

声を出して感じているように見せていることも父への配慮なのかも知れない。
風邪が治って元気になったら母に聞いてみようと今は自分の心の中に想像したことは仕舞っておいた。

夜遅くになって沙代子から連絡が来た。
昼間都合が悪かったことへの詫びの電話だった。

「ごめんなさいね。彼と会っていたものだから返事できなかったの」

「そうでしたか。仲良くしていますね。私の方は問題ありなんです」

「ええ?問題ありってどういうことなの?」

「仕事で来月海外へ行くらしいのですが、一緒に着いて来てくれないかって言われたんです」

「へえ~積極的に誘われたのね。どこに行くの?何日ぐらい?」