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踊りたいからここにいる 抱きしめたいからここにいる

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6 踊ろう



(1)

教室の
隅に一輪
壁の花

さっきから
見つめてるのに

やっと
今ごろ
気づいてくれた

踊りもしないで
虚ろな視線で
何見てた?

どうして
潤んだ
目をしてる?

その待ちぼうけ
今日初めてでは
到底ないね?

報われる
当てもないのに

来る約束もない
待ち人を
ぽつねんと
何度待っては
泣いて帰った?

この鈍感な
朴念仁は
一言もない
どう謝っても
謝り足りない

それでもなお

厚顔の
極みと知りつつ
ここに立つ

--この私は
君が愛した
男なのだ--と

あの壁の花に
自分を鼓舞して
ここに立つ

君に釣り合う
若さはない
見目麗しくも
決してないが

それゆえの
すまなさ
引け目を
かなぐり捨てても
ここに立つ

愛されて
言い訳する野暮
言い訳しながら
愛する無粋

金輪際
君には見せない
そう誓う

愛しい人に
堂々と
愛しいと言って
みたいから

愛しい人を
存分に
愛し尽くして
みたいから

だから
こうして
ここに立つ

踊ろう
フランソワーズ


(2)

この曲が
終わるまで
黙って
いっしょに
揺れていたい

あるじが戻った
揺りかごを
飽きるほど
揺らしていたい

この曲が
終わったら
口に出して
必ず言うから

ごつごつしていて
武骨だけれど
この右腕は
君だけの
揺りかごだからと

死ぬまで君と
踊りたいと

耳元で
きっと
言うから


<完>