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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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住む世界、種類が違っても起こる事は同じ。

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黒モジャが空間の画面に登場して以来数日間、私は家の中を歩いてはふと金魚の水槽へと目が行くようになった。
普段から金魚さんたちを見てはいるが、画面にいる黒モジャを見ていると関係ない金魚へと目が行くようになった。
そして私は、その答えを探しにいろいろと探り始めた…。
もちろん金魚たちではなく、黒モジャを…。
黒モジャの本性を知るまでの黒モジャの言い分は、
“自分はみんなの中で一番小さくて、弱くてかわいそうな馬なの…。”
だった。
そんな事を聞きながら金魚の水槽を見つめる。
・・・でもやっぱり分からない・・・。
黒モジャが見つめてくる…と書きたいところを黒モジャの鼻が近付いて来る…、そしてかなりの鼻息の中、その鼻で臭いを嗅がれる私。
何がしたいかを探し求めていたけど、結局分からなかった。
たまに、ゆきの(馬;本名)とワイキータ(馬;本名)が顔を出してくるけど、だからと言って分かるわけでもなかった。
そこにヒントがあるかも…なんて思って探ったところで答えは出なかった。。
結局、馬たちの所へと行くまで分からなかった。

馬たちの所へと行って、先ずはゆきのにお礼などをして、そしてずっと話し掛けて来ていた黒モジャの所へ行き、約束だった鼻へタッチ。
それからしばらく黒モジャと話していて、どうも態度がおかしいと勘付いた私は、黒モジャの目を覗き込んだ。
まさかここまで覗き込まれると思わなかったのだろう、
“しまったっ!!”
という態度を取ってしまった黒モジャ!!
ギョッとする黒モジャに紐解き始めた私。
何かと重なる…と思ったけど、その答えが出ない。
そしてワイキータと話して、…ただただひたすらデカいっ!!
早く慣れなくちゃ~なんて思う。
何分、人間の世界にはない大きさ!!
私はみんなに笑われていたけど、たまげるしか出来なかった…。
私の試練はこの大きな馬に慣れる事だと思った。
そして茶混じりモジャとは、黒モジャが邪魔をするので会話は遠目から一度だけだった。
そして頑張って、くじけて…、それでも頑張って近付いて来た白モジャ。
その努力のおかげか、私の手の甲にチュッと出来た。
でも頑張れてそこまでだったが…。

そして次の日、私は黒モジャの事を思い出していた。
話し掛けて来なくなったと…。
そう思いながらたまたま水槽を見ていた。
水槽を覗きながら、何かが重なりかけていた。
・・・・・・あれっ?!・・・・・・ピンポンパン(金魚;ピンポンパール)と黒モジャが・・・似・て・る。
“マジかっ?!”
と思った私は、いろいろ思い出した。
黒モジャは、
“自分が一番小さくて、弱くてかわいそう…。”
と言う。
そしてピンポンパンは一番小さい金魚の内の一匹。
他にはダイブツ(ランチュウ)さん三匹兄弟と、もう一匹のピンポンパン(転覆さん)と大きな金魚が一匹。
もう一匹の転覆のピンポンパンは小さいピンポンパンと兄弟。
見る分には小さくて、エサを取るのも大変そう…、他の大きな金魚たちに追い掛けられてそうで、かわいそう…。
みたいな感じに見える。
しか~し、そこはとても違った。
初めからいる水槽の中の長である大きな金魚の縄張りに入り、そこに入ってくる金魚たちを毎日ドーナツ状に蹴散らし始めた。
もちろん長である大きな金魚も毎日、数時間の被害に合っていた。
『コラッ!!』
と水槽を小突いてみたものの全く意味がない…。
怒りたいのはピンポンパンだけなのに、他の金魚も驚いてしまう。
みんなで驚いて、そして慣れて…、水槽を小突いても誰も怖がらなくなった…。
どうしてだろうか、私はその中とは関係ないのに、…敗北感…。
金魚に負けるなんて考えもしなかった…。

転覆さんが水面まで転覆するので、穴の空いたカゴで隔離してあげようと思い、百円均一で吸盤と結束バンドを買いホームセンターでカゴを買い、水槽のガラスにくっつけた。
その中に、転覆さんとついでにピンポンパンを囚人のようにカゴの中に入れた。
兄弟だからか分からないけど、ピンポンパンは転覆さんだけ追い掛けたり噛み付いたりはしなかった。
仲良く二人暮らしが始まった。
隔離される事に抵抗してくるかと思いきや、カゴの中に家とするトンネルを入れてあげたら、ピンポンパンがすぐに気に入って、スイーッスイーッと行ったり来たりして遊び始めた。
Uターンする時の機敏さが金魚らしくなくて信じられなかった。
変な金魚…と思う私。
黒モジャがもし隔離されてもピンポンパンと同じようにその世界を楽しむんだろうなぁ~なんて思った。

そして水槽を覗き込んで、しばしば様子を見ながら、ダイブツさんの赤ちゃん。
この金魚が一番小さい。
右手とシッポしかヒレの部分は成長しない。
後は奇形のようで、成長せずに赤ちゃんの時のサイズのまんま。
右手とシッポだけじゃ上手に泳げないから、体中を使って必死に泳いでいる。
でも私は過保護にはしない。
自力でエサを取らせている。
三センチほどしかない体で、四十五センチを潜って幅六十センチを水流に振り回されながらエサを取る。
そんな毎日の戦いの中なんとかエサにありつけている。
上手に泳げないから水流で流されてひっくり返る事なんか日常茶飯事。
数粒エサが取れたら、左奥の角まで行き、口の中のエサがなくなるまでモグモグする。
それを何度も繰り返す。
いつも一人ぼっちで一生懸命生きている。
そんな姿がなんだか白モジャに見えて来た。

なんと言ってもワイキータは大きな金魚。
まっ、ピンポンパンに噛み付かれていたから、そこはワイキータには似てないけど、一応、水槽の中の長ではある。
たぶん、黒モジャはワイキータには噛み付かないと思うけど…。
たまに大きな金魚さんは本気で怒る時がある。
まっ、怒られていたのはピンポンパンばかりで、大きな口でパクッと噛み付かれていた。
でも今は隔離されているから平和ではある。
ワイキータも本気で怒る時があるなら、長同士となるなぁ~なんて思った。

そして真ん中のダイブツさん。
この金魚さんが一番存在感がない…。
たぶん飼い主の私が勝手にそう思っているだけだと思う。
健康でバランス良く、何にも問題がない。
これは茶混じりモジャに見える。
上と下に挟まれて、行く場所がないという感じ。
でも頭が良いのか、エサを取るのもみんながいない所を上手く見付けて、上手に成長している。
なんだか、コソッとやり手にも見えて来た。

そしてゆきのは転覆さん。
隔離されていたカゴから最近保釈された。
転覆していたから、みんなと馴染めずずっと水面に浮いていた。
何か良い方法はないかと考えていた間、ずっと水面から出ている部分が病気になっていた。
毎日毎日、辛そうにしていた。
助けたくても思い通りにはならない。
そんな毎日がもどかしくてもどかしくて、たかが金魚かもしれないけど、やっぱり気持ちよくエサを取って、気持ちよく泳いで欲しいと思う気持ちはなくならない。
そしてやっといい案が出たのが水の中で隔離。
常に水に浸っているから大丈夫だと思った。
一ヶ月悩んでいた病気の赤みが一日でなくなった。
やっぱり金魚も生きているという証拠。
隔離したはいいけどエサを取ることは出来ない。