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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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探せオリジナリティ

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さっきふと色々思い起こしてみて、自分の趣味の殆どが他人(男)からのすりこみだったことに気づいた。

これはまずい。45にもなってこれは非常にまずい。

後続に「これがわかる?リッスントゥーミー?ボーイズアンドガールズ?」

と言えなかったらわたしの人生は何だったのか。



で浮上したのはなんとたったの二点のみ。

「ヘヴィメタル・ハードロック」と「絵」、だけだった。

これじゃえばれない。年がら年中えばってたいのに。あーくやしいあーくやしい!(泣)



ヘヴィメタル・ハードロックは初恋も同然だった。

まるで初めての男に犯られ、でもそれでメロメロになりましたという感覚に近い。

もう寝ても覚めてもそのことばかり。部屋はその手の切り抜きとポスターで壁も満足に見れないほどに埋め尽くされ、ステレオからはいつでも祭のような大音響。

そのまま音楽愛はすくすくと育ち、わたしはすくすくではないが育ち、現在に至る。

それだけだ。



絵はなんだか知らないが幼少期から描いていたようだ。

よくあるデッサン無視の「家族と犬とわたし」とか「草原のぬいぐるみ」みたいなのから、今は「頭大丈夫ですか?」(大丈夫じゃないから病院行ってんだよ)というファンタジック系女女女の絵。

自分が思うところの絶世の美女。半神半獣の乙女たち。

コンプレックスがひどいから反動で描いてるんだろう。



その二つをだから、無下に扱われると傷つく。他のはともかく。

もともと自分が傷物だから、両手に残ったわずかなギョクを割られるともう居場所がない。

ノートに隠して描いている大切な陰謀を、興味本位で覗かれてばかにされたら、
わたしは泣きながらトイレに駆け込んでしまうだろう。



少ないんだなあ。だいじなものは。

でも、よかったなあ。少なくて。

この先、身軽でいられるから。



いつか狂った頭で実家から遁走しようとした時、自分の持ち物という持ち物を徹底的に売り、捨てた。

ジーンズ一本、Tシャツ何枚か、上着少し、本5冊、何枚かのCD、身の回りの最低限の物。それ以外すべて。

それは正しかった。

どうせ、持っていけない。ギョクと、記憶以外は何も。

わたしはあの時多分、しごく彼岸に近かった。そう、持っていけないのだ。




それは後続に言えると思う。

あとまで生きてて欲しけりゃいくらでもまた買える。

どうせまた捨てることになるが。