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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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最高に気持ちがいい朝

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最高に目覚めのいい朝だった。

窓から入る朝日が部屋を明るく包んで、
外から鳥のさえずりが聞こえてくる。

「ああ、なんて気分のいい朝なんだ」

大きく伸びをしたあと、コーヒーを入れる。
いつもはインスタントだけど、
こんな日はちょっと手の込んだコーヒーにする。

部屋の中にコーヒーの香りが広がり、
この爽やかな朝の始まりを演出してくれる。

ポストから新聞を受け取り、
コーヒーを傾けながらゆっくりと情報のシャワーを浴びる。

「こんなに穏やかな朝はいつ以来だろうなぁ」

最近は特に忙しかったのもあり、
こうして新聞を広げることなんてなかった。

今日の充実した朝を与えてくれた神に感謝。


「さて、仕事に行く前にさっぱりしておこうかな。
 こんなに気持ちのいい朝はそう訪れない。
 だったらもっともっと最高になろう」

シャワーだけで済ませていたが今日は湯船につかる。
温かいお湯に包まれて体の全細胞が起きだすのがわかる。

顔を洗い、髭を剃り、乾かす頃には
体は完全に起きてスイッチが入っていた。

「最高の朝はまだまだこれからだ。
 朝食も手の込んだものにするぞ」

いつもは雑に食べていた朝食だったが、
今日は品数を増やして少し豪華にしてみた。

テーブルに並べると、まさに壮観。

朝からこんなに充実した日はないだろう。

テレビをつけながら朝食をよく噛んで味わう。
いつもよりゆっくりとかみしめるように食べると
料理のひとつひとつの素材の味が感じられてとてもおいしい。

「こんなにおいしいなんて思ってもみなかったなぁ。
 今まではきっと味わう余裕なんてなかったんだ」

でも、今こうして余裕を手に入れたことで
これまで見えなかったものや感じなかったものがわかる。

本当にいろいろなことを気付かさせてくれる朝だ。


食事を終えて歯磨きへと手を伸ばす。

たわしのように洗ってぼろぼろになった歯ブラシを捨て、
今日の日を最高にするために新しい歯ブラシを出した。

気持ち多めの歯磨き粉で、
歯の一つ一つがわかるように磨き上げていく。

歯磨きの後は口臭チェック。

最高通り越して、究極に充実した日にするためには欠かせない、

鏡で髪型とネクタイの位置を確認し、
スーツに袖を通して会社用のカバンを手に取る。

ノリのきいた新品のシャツが肌に気持ちいい。
自然と背筋がしゃんとする気がする。


ドアを開けて家を出ると、
空からは太陽の光が挨拶をしてくる。

雲一つない晴れやかな空。

「今日はきっといい日になるぞ!」

俺は上を向いて歩き始めた。
今日起きるであろう幸せな事柄に思いをはせながら。





会社についたのは昼過ぎだった。

「お前! 遅刻確定だとわかるなり
 開き直ってゆっくりしてんじゃねぇぇぇ!!」

最大級の遅刻をした俺に上司の拳がめりこんだ。