小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

空の世界と海の世界と

INDEX|1ページ/1ページ|

 
地球にほかの惑星がめちゃくちゃ接近したとかで
地球から地上がなくなることになった。

「お前、どうするよ」
「まだ悩んでるんだ」

一番の親友に尋ねてもまだ答えを決めかねているようだ。
でも、もう期限はない。

明日には「空の世界」「海の世界」かを選ばなくちゃいけない。

かくいう俺も悩んでいた。

「どっちの世界がいいんだろうな」

「そんなことわからない」

そして翌日、自分の頭の中に声が響いてきた。

"それでは、空の世界、海の世界の
 どちらで過ごしていくかを決めましたか?"

しばらく悩んだが、やっぱり……。

「空の世界にします!」

"わかりました。では、この戸籍登録書に印鑑を……"

「そういう手続きいるのかよ!」

そして、地上は失われた。
接近した惑星の何かしらの影響らしいが詳しくは知らない。

空の世界で生きることを決めた俺は、
空を自由に飛び回っていた。

「ひゃっほーー! 昔見た夢が実現できるなんて!
 空は気持ちいし広いし最高だ!
 やっぱりみんなこっち選ぶに決まってる!」

空を飛びながらも友達を探す。
けれど、どこにも友達は見つからなかった。

「もしかして、海の世界を選んだのか?
 もったいないことしたなぁ。
 空の世界の方が100倍はいいところなのに」

海の世界にいる友達にこの快適さを見せつけるよう
俺は雲を突き抜けて3回転した。




でも、楽しかったのは最初の10日間だけだった。

「暑い……腹減った……」

空の世界は太陽をさえぎるものが少ない。
食べ物も豊富とは言えないので、お腹がすく。

それになにより……。

「なんでこの世界にはいないんだよぉ!!」

いくら探してもそれは見つからなかった。

「まさか、全部海の世界に行ってしまったのか……。
 くそう、最悪だ。俺は選択を完全に間違えた」

うらやましそうに海を見下ろす。
そこに黒い点がぽつりとあることに気が付く。
いやちがう。あれは人の頭だ。

その見覚えがある顔に向かってひとっとび。

「おお、お前か! 海の世界を選んだんだな!」

「そっちこそ、空の世界を選んだんだな。
 いつも一緒だったのに離れ離れになるなんてなぁ」

海に浸かっている友達を見るとうらやましくて死にたくなる。
きっとそっちの世界にはいるんだろうな。

「で、どうなんだよ? 海の世界は?」

「どうもこうも最悪だよ。
 天敵は多いし、日が差さないから毎日暗いし。
 こっちの世界には足りないものがあるんだ」

「そうなのか。実は俺も同じなんだ。
 こっちの世界にはないものが1つあるんだ」

「そっか。でも、空の世界を選んでいればよかったって
 今なら思うよ」

「実は俺もなんだ。海の世界がよかったなって……」

これはチャンス。

「なあ、それならお互いの戸籍を交換しないか?」

「おお! 俺も同じことを考えてた!」

お互いがお互いになりすませば、
別の世界に行くことができる。

あんな雑な戸籍登録しかしてないんだから、
偽ることなんてちょろい。

「それじゃあ、俺がお前で」
「お前が俺として生活するんだ」

お互いに戸籍を交換した。
俺は海に潜って、友達は空へと舞いあがった。

そして、すぐに気付いた。


「こっちの世界にも女の子いないのかよっ!!」





"それでは、空の世界、海の世界の
 どちらで過ごしていくかを決めましたか?"

「男のいない世界ならどこでもいいわ」

女たちは接近した惑星へと転送され
そこで幸せに暮らしました。