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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「化身」 第二話

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「作治さま、このような看板が」

「おお、ここじゃ!」

玄関をドンドンと叩いて中に入った二人は不思議そうな顔で薬師に見られていた。

「どのようなご用向きでございますかな?」

「へい、時間がありませんので手っ取り早く言わせてもらいます。トリカブトをわけてもらえませんか?」

「何と!トリカブトを欲しいと言われるのか?してその訳は?」

作治は村で起こっていることを話した。

「そのような話は作り物ではござらぬよな?」

「この娘に聞いてみてやってください」

薬師は菊のまっすぐな目で作治の言葉が嘘ではないと思えるように感じていた。

「解りました。代金は要りませぬ。これを持ってお戻りなされ」

「ありがとうございます。菊も礼を言うのだ」

作治に促されて頭を深く下げた。

「もうよい。そなたたちの村が助かると良いが、そのようなことはお上に申し上げた方が良いと思いますぞ。村だけの問題ではありませぬからな」

「それは何度も申し上げましたが、まともには取り次いでもらえませんでした。そのうち聞くことも疎かに門前払いとなりました。妖怪という事が信じてもらえなかったのです」

「うむ。なるほど。妖怪に連れ去られていると話しても信じてはもらえますまい。本当に妖怪だと思われているのですか?」

「と言いますと?」

「妖怪に似せた人さらいだとは考えられませぬか?」

「人さらい・・・食べられているのではなく、売り飛ばされているという事で?」

「毎年一人だけさらってゆくというところに深く疑問が生じますな」

「それはお腹がいっぱいになるからでは?」

「それとな、一年に一人それも同じ時期にという事には何か理由があるのだとは考えられないか?」

「もし、先生の言われる通り人間だとしたら、人質の身体に毒を塗っても効き目はないという事ですね?」

「そのようだね。さらったのが人間だとしたら娘の身体に塗った毒は口に入れないだろう」

「そうなると・・・どうすれば良いと思われるので?」
作品名:「化身」 第二話 作家名:てっしゅう