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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「優しさの行方」 第七話

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「たぶんそうだろう。見た目は少女とかを装っているけど男の霊だと思う。自宅に帰って聖水を作るからそれを友幸君に飲ませてほしい。強力な効き目だから友幸君の身体にも多少の影響が現れるかも知れないけど、それは死ぬようなことにはならないから大丈夫だよ」

「聖水を飲ませるとどうして退治できるのですか?」

「聖水は吸収され精液に混じって悪霊の多分女の身体をしているから、膣の中に放出される。精霊はその効力にのたうちまわり、二度とこの世界へ渡れないほどのダメージを受けることだろう。ニ、三日もすれば友幸君の身体からは排泄される。どうやって飲ませるのかが村山さんの仕事だよ」

静江は元気をつけるためだと偽って、栄養ジュースを作り自分の手でアパートに届けた。母親のそんな気持ちに応えようと、目の前でコップに注いで友幸は飲んだ。

「母さん、これ美味しいよ。ありがとう」

「そう、良かった。元気出して勉強とバイトに頑張ってね。今日は帰らないといけないので泊まれないの。残念だけど、またゆっくり来るね」

「そうなの。残念だよ。母さんも無理して来なくていいよ。夏には帰るから」

「うん、たのしみしてる」

静江は部屋を出ると涙が止まらなかった。
友幸を騙したことも辛かったが、何より悪霊に憑りつかれていることが憐れでならなかったのだ。

家に戻るまでこれですべて終わってくれるように願っていた。
引っ越しの時に感じたあの気配がこんな事態を招くだなんて想像できなかった。
もっと早く気付いて霊媒師に相談するべきだったのかと反省した。
今夜もし夢の中で女が現れて友幸と交わったらそれで本当に終わるのだろうか。
もし気付かれて友幸が危険な目に遭ったら、そう考えると家に帰るより名古屋に泊まって明日の朝確認しにゆきたいと気持ちが揺れた。

運命の夜がやってきた。
銭湯から戻って来て友幸は母親の持ってきたジュースを疑う事もなくのどを潤すために飲んだ。
昨日は現れなかった理由をたまきに聞きたいと思っていた。0時が過ぎて夢の中に、そして、たまきは現れた。