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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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よくわかる努力フリ教室

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「努力フリ教室へようこそ!
 みなさんはここで努力のフリをしっかり学んで
 どんどん社会評価を上げてくださいね!」

講師の先生は教壇に立って語る。
さっそく生徒のひとりから手が上がる。

「先生、努力のフリって何ですか?」

「いいですか、この世界は実際に努力している人よりも
 形だけの努力をしている方が評価されます。
 そこでこの教室では努力せずに評価される方法を勉強します」

先生はまず全員に小難しそうな経営の本を配った。
表紙を見ただけで、ほとんどの人が敬遠するほど。

「みなさんに配った本、これを毎日読んでください」

「え゛……先生、正気ですか。
 読み終わるよりも先に眠ってしまいそうです」

「そうでしょうね、ですから絶対に本気で読まないでください。
 本を開いているだけでいいんです。
 読んで努力しているフリをすればそれでOKです」

「それだけでいいんですか?」

「もちろん。"あいつ努力しているな"と思わせれば評価されます。
 これは人の目があるなしにかかわらずやってください。
 これ見よがしにやるとボロが出るので」

次に先生はメモ帳を配布する。

「次に、メモ帳です。
 これから皆さんはメモ帳を携帯してください」

「先生、でもスマホのメモ機能の方が便利です。
 書くより早いですし、整理もできますし……」

「違いますよ、これはあくまで努力のフリですから。
 メモするというアナログな行為が相手の評価につながるんです。
 スマホでメモしても評価されません」

「なるほど!」

さっそく生徒はメモを走らせた。

「最後に、仕事は必ず残業してください。
 そして、朝は早く来てください。
 仕事の速度に関係なく長く会社に居残ると頑張ってる感が増します」

「さすが先生!」

生徒はもう完全に聞き入っていた。

それからも先生はありとあらゆる努力のフリを伝授した。
生徒は熱心に先生の話を聞いていた。

「うんうん、素直でいい生徒だ。
 これらを実践すれば間違いなく評価されるだろうね」

と、自信満々だった先生だが結果はぼろぼろだった。
生徒の誰一人として社会評価が上がっていなかった。

「先生、どうして評価が上がらないんでしょう」

「うーん、まだ技が足りないのかもしれない。
 いいでしょう、追加で努力のフリを教えます」

先生は追加でさらに努力のフリを教えた。
生徒は熱心に話を聞いていた。

たしかな手ごたえを感じて生徒を送り出したが、
やっぱり努力のフリ効果は現れなかった。

「先生、ダメです! 全然評価されません!」

「うーーん、不思議だ。
 あれだけ熱心に話を聞いているのに
 どうして努力のフリ効果が出ないんだ?」

ついに生徒は大声を張り上げた。


「先生の教えにしたがって、
 熱心に話を聞いているフリをしているのに!!」


「原因それだよ!!」