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エースを狙え

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     ●


 14:00


広島市内にある寮まで約3時間掛けて行った。
寮はコンクリートで出来た建物で5階建て、見た目は完全にビルだった。


「ここかぁ」


寮の前でボーっと突っ立ってると中から砂羽監督が出迎えてくれた。


「一番乗りだな、佐熊君」

「え、あ、そうなんですね…あ、おはようございます?こんにちは?でしたっけ…」

「ああ、この業界、朝も昼も夜もないから、おはようが選手共通になってるからおはようで構わない」

「あ、そうっすか…」

「中に入って受付で名前を言えば部屋番号の書いた鍵が貰えるから」

「何人部屋なんですか?」

「基本二人部屋だ。一軍も二軍も関係ないごちゃ混ぜだから誰に対しても敬語は忘れないようにな」

「新人なんだからそりゃそうでしょうよ……」

「ま、たまにいるんだよ。生意気なのがな」

「はぁ…ありがとうございます」


俺は砂羽監督に挨拶した後、ビルの中に入った。
中に入ると確かに1人の受付嬢がいた。


「あの…佐熊昇って言うんですけど…」

「佐熊様ですね。少々お待ちください」


受付嬢は新人の名前が入ったファイルを開き、14 佐熊昇 5010 の横にチェックをして部屋番号が書いてある鍵と佐熊と書いてある名前プレートを渡した。


「どうぞ」

「あ、ありがとうございます…5010って5階でいいんですか?」

「はい、5階の上手(かみて)奥の部屋になります。

「…判りました」


俺はエレベーターに乗って5階へ行った。


…えっと確か上手奥、だっけ…


歩いていくとあった。
5010号室。
名前プレートを挟む所にもう一つの名前が書いてあった。
椿、と。


…そういえば二人部屋だっけ…


インターフォンがあったので取り合えず押した。

(ビー)

すると中から「入っていいよ?」という声が聴こえたので「あ、はい!」と答えて俺は名前プレートを挟んでから、部屋の中に入った。
作品名:エースを狙え 作家名:本宮麗果