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エースを狙え

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俺は自分の心臓の音が高まったのが分かった。
何故なら始まった瞬間に名前を呼ばれたからだ。
指名を受けたのは力を蓄えながらも万年最下位と言われる広島サンドだった。最下位の球団とはいえプロの球団だ。しかもドラ1の評価。今の俺にとっては最高の評価と言える。
しかしふと思い直す。
いいのだろうか…と。
俺なんかを選んでも順位が上がるとはとてもじゃないが思えない。何を考えて俺を取ったのだろうか?最下位ならそれこそ三浦結城や里見太輔を取りにいきやすい筈なのに。
そんな事を思っている内に各球団の監督達にインタビューが始まった。1位から順番に始まっていく。25分位で広島サンドまで廻って来た。
そして広島サンドの砂羽監督が俺の評価をした。


『何故ドラ1で甲子園にも行ってない選手を取ったのですか?最下位ならそれこそ選手取り放題じゃないですか?』


この記者は容赦がないなと俺は思った。


「甲子園をすべての評価基準にするのはやめて頂きたいのだが…別に甲子園に出ていなくてもプロで活躍する選手なんてたくさんいるのだし。それに能力・才能・頭脳・修正力、どれをとっても一級品とくれば取らない理由がないだろう?」

『来年は諦めたと、そういう判断でよろしいですか?』

「これでも一応即戦力を取ったつもりなのだが…」

『では佐熊選手は即戦力に成り得る選手だと?』

「ええ。あれはエースになれる素材ですよ」

『佐熊選手は噂によればかなりのネガティブ思考の持ち主だと聞きましたがどのように矯正させるのですか?』

「矯正?馬鹿な事をいうね。あれは個性だよ?ネガティブ思考の何が悪い?それだけいろいろな事に迷ったり、悩んだり出来る選手の方がむしろ有り難いし、ウチの球団では成長を期待できる。ウチは良くも悪くも素直な選手が多くてね…だから我が広島は佐熊昇を大歓迎するよ。以上だ」


そして2巡目が始まった。
俺は自分の中で何かが熱くなっていくのを感じた。
…なんだろう、この感じは…
こんなに自分をよく言ってくれた人はいない。
信じられないと思うと同時に、自分でもプロで通用する?という両極端の感情が湧く。
不思議だ。
教室は湧いていた。
皆はジュースやマクドやケンタッキーなどを買ってきてお祝いをしてくれた。野球部員達以外の生徒達もいろいろ集まってきて祝福してくれた。
作品名:エースを狙え 作家名:本宮麗果