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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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恋の肝試し




「やばい…あつい…しんじゃう…」

舗装もされていない山野でのランニングはきつい。本当にきつい。体力、腕力をつけるための基礎に、一年生はみっちりと時間をとられていた。さっき着替えたばかりのTシャツがもう濡れている。熱中症予防のため、ランニングは日の傾いた夕方からだが、それでも体力はがつんと奪われていく。午前中はひたすら体配と巻き藁の練習をこなした。先輩たちは午前中に後輩を指導し、午後からは個人練習に入っている。

「温泉、温泉、温泉…」
「おいしい夕飯おいしい夕飯…」

もはや生ける屍である。風呂と夕食のみが生きる希望であった。

「持ち物にっ…着替えいっぱい持ってこいってっ…書いてあったの、これかあ…っ」

やっとの思いで宿に帰り着いた。しんどい。殆どの一年がコンクリートの上に寝そべって息を荒げている。

「大丈夫か。今日はこれであがりだ」

他の一年生は全員日陰で倒れているが、瑞はわりと平気そうだった。汗びっしょりだが、余裕がある。すごい。

「須丸くん元気だよねえ」
「えーきついよ」
「見えないよ」

ゾンビのように連なって宿へ戻る。
このあとは夕食、そして毎年恒例肝試し大会が待っている。