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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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夏だ!



ぎらぎらと、窓の外で太陽が輝いている。見下ろす町は陽炎の様に揺らめいており、眩暈がしそうなほどだ。教室の天井では扇風機が回っているが、あまり役にはたっていない。

ようやく補講が終わり、生徒たちはクーラーの効いている食堂へ向かう。

「あー天国だね」

夏休みに入っても、郁(いく)たちの生活はいつもと変わらない。
午前中は補講授業があり、これはずべての生徒が対象だった。午後はみっちり部活もあるし、当然宿題もたんまり出ている。友だちとも毎日顔を合わすし、本当に休みなのはお盆くらいである。高校生の夏休みは厳しい。遊びほうけることもできない。

「ねえねえ、わたし八月超ツイてるんだ」
「ウソー」

友人らがスマホを操って盛り上がっている。なになに、と見せてもらうと占いのようだった。

「えー占い?見せて見せて」
「これ当たるんだよ。郁は確か~…」
「水瓶座のO型!」
「あったあった。ほれ」

この夏はこれまでとは違う出来事に遭遇する予感です。
恋も勉強も、一波乱ありそう。でもピンチはチャンス!これを好転させてラッキーを呼び込むことができるかどうかは、あなた次第!

「なんか、よさげだよ?いいことあるかな」

にやにやしていると、背後に気配を感じた。大きな影が覗き込んでくる。

「またそんなエロいの見て」
「ぎゃっ!覗かないでよ!べつにエロくないよ、ただの占いだもん」

須丸瑞(すまるみず)だった。プリントの束を持って立っている。座っている郁から見上げると、電柱みたいだ。