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アルラ過去小説

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私は、ごくごく普通の、どこにでもあるような、平凡な一般家庭に生まれました。幼い頃は人並みに親に愛されていましたし、それなりに幸せな幼少期だったんです。しかし、私が…今で言う小、中学生くらいの歳の時ですかね。突然家に盗賊が押し掛け、両親は殺されました。
私達が住んでいたのは都市から離れた小さな小さな村でした。しかも大昔ですから、山賊盗賊なんて日常茶飯事。
普段は彼らに襲われぬよう、家の前に食べ物などを置いておくんです。村の皆が同じ事をすれば、彼らは村の者に手を出さなかった。無法者とはいえ一応、暗黙の了解みたいなものは存在してたんでしょうね。
しかしその日、彼らは問答無用で全てを奪って行った。
私も一度彼らに捕まりましたが、何とか”無傷”のまま逃げ出しました。余談ですが、同じ村に住んでいた私より年上の女性達はそれは酷い仕打ちを受けていましたよ。舌を噛んで死ぬ者まで出る程に。
…話しを戻しましょう。
私は逃げ出してから、真っ先に都市へ向かいました。
親が死んだとか村が全壊したとか、一気に起こり過ぎて感覚が麻痺してたんでしょう。頭は妙に冷静で、とりあえず人のいる場所へ行くべきだと思ったんです。
難なく都市にたどり着いたものの、身寄りも家も金もないという事実は変わらなくて。
いわゆるストリートチルドレンの仲間入り、ですね。
スラム街にうずくまって、ゴミを漁ったりして、生きる為に犯罪すれすれ…いや、罪も犯しました。仕方ないことでしょう?それ以外に命を繋ぐ術(すべ)を知らないんだから。
ある日、いつものように肉屋から干し肉をかっぱらったんです。
…なんです、その目。もういいです。続けますよ。
肉を持って必死で逃げてたら、どうも警察らしき人にぶつかったんです。肉屋が追いかけてきてたので、目にもくれずそのまま走り続けました。
その後、肉屋は私の事を警察に話したらしく、私は次の日から追われる身になってしまいました。…肉を盗っただけなんですけどねぇ…。

で、数日後。普通に捕まりましたよね。相手は成人男性、私はほんの子どもですから。ただ、どうしても刑務所とかは嫌だったので、
私を掴まえていた男の腕の肉をね、噛み千切って逃げたんです。
人間、本気だせば何できるかわかりませんよね。

お腹が空いてたので、口の中に残ってた肉…飲み込んだんです。
それが始まりでした。

それまで、まさか人の肉も普通に食べれるなんて全く思ってなかったんです。というか普通、考えないでしょうね。

人の肉でも食べれるんだって思ってから賞金首になるまでに、大した時間はかかりませんでした。成人する前には既に賞金首でしたね。
悪い言い方ですが…お腹が空いたら、それこそ見境なく食べ散らかしてましたから。

ある日。
ふと、すごく嫌ぁな気配が近付いてきたと思ったら、目の前に男が立っていました。見た目は黒装束に赤目、細身で長身。目が血のように赤くて不気味でした。
「やっと見つけた」
と言って笑ってきたので、私は男を賞金稼ぎかなんかだと判断して睨みました。
男はゆっくりと両手を掲げました。右の手のひらには目玉が埋め込まれていて、ただの人間じゃないって気づいた時には、男と二人、この家にいました。恐らくテレポート系の術でも使われたんでしょう。それから、男は言いました。
「人の身でありながら人を喰らい、たくさんの命を奪った食人鬼。私は今貴様に”不死の呪”と”食人の呪”をかけた。貴様はこれから死ぬ事と、人以外のものを食う事はできない。それから、貴様の”存在”はこの家屋に封印した。貴様がここから出る事も不可能だ。
―500年の後、貴様が己の今までの愚行を悔いていたのならば、貴様を救う者が現れる。その時まで、これまで貴様が無意味に奪った命へ深く祈りを捧げるがいい。」
男はその台詞を残して、一瞬で消えました。

その夜は体の内側から針で刺されてるかのように全身が激痛に襲われ、目を覚ますと人間の体ではなくなっていました。
…それから本当にこの家から出ることは出来なくて、人以外のものを食べる事もできませんでした。水ですら口に含むと吐き気を催す程。男の言った通り死ぬ事も出来なかったので餓死の心配はありませんでしたが、死ねないというのは案外辛いものです。
この家には始めから食糧以外の全ては揃っていたので、食以外の生活はただ退屈というだけで、人間だった頃よりいい暮らしではありました。
肝心の食の方は、待ちの一択。この家がどこにあるのかは知りませんが、どこかの森の中というのは分かりました。時折迷いこんで来る子供や猟師なんかを家の中に誘い…後はわかりますよね?

そうやって今まで過ごしてきました。恐らくこれからも、変わらないでしょうね。

…もう、話す事はありません。用がなくなったなら、さっさと帰ってください。
作品名:アルラ過去小説 作家名:如月桜華