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キミをわすれないよ

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街がひと晩にして変わった。



突然僕が記憶喪失になったわけでも 何処か知らない場所に来たわけでもない、見慣れたいつも通る場所だ。ニュースで取り上げられるような有名な場所でもない。
だって、僕の通勤経路なのだ。だから毎日のように飽きるほど見ている道だけど、この時期は特別なんだ。


春夏秋とこの道の街路樹は、通る人の目を楽しませてくれる。
もしかすると、散歩に通る犬や 気まぐれに歩く猫。電線に器用に止まっている鳩や食糧になる物はないかと狙っているカラスも 楽しんでいるかもしれない。
樹齢が長いとか、珍しい品種の木であるとか、枝ぶりが見事であるとかではないけれど、年ごとに業者が手を入れ美観を保っているという並木。
その木々に 冬の煌めき…色とりどりの電灯が飾りつけられて、その道はイルミネーションのトンネルのようになる。木々には可哀想なことだと思うけれど、これも土地から人離れをしないようにとの策なのだろう。僕は楽しみにしている。


それにしても いつの間に? というくらい見事な作業だ。


作品名:キミをわすれないよ 作家名:甜茶