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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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マッチ売りの・・・

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「マッチ……マッチいりませんか。
 マッチ、マッチ買ってください……」

冬の寒い夜、マッチ売りは必死にマッチを売る。
誰も足を止めるどころかかかわろうともしない。

「ああ……寒い……もうだめだ……」

マッチ売りは寒さに震え、人の冷たさに凍えた。
そして、マッチを1本すると火がともった。

見えてきたのは……。


「な、なんだこのアイデアは!?」


ばあさんの映像でも豪華な食べ物でもなく。
マッチの火で浮かび上がったのは、マッチのアイデア。

「こんなマッチはクソだ!
 はやく商品改良しなくては!」

マッチ売りはすぐさまマッチの商品開発を急いだ。

まず、ライターより劣る"すぐ消える"点を解消した。
今度のマッチは一度火がつけば台風が来ても消えない。

「マッチいりませんか?
 すぐに火がついて、あっという間に消せるマッチです!」

それでもマッチは売れない。
まだまだ商品改良が足りないに違いない。

再びマッチの火からアイデアを手に入れて開発を急いだ。


「これならどうだ!」

今度のマッチは異常な火力を実現。
このマッチさえあれば、ガスコンロが不要となり
世界の火力発電所をこのマッチ1本でまかなえる。

「マッチいりませんか? マッチ……マッチ買ってください。
 これさえあれば、超省エネでガス代も激減しますよ」

それでもマッチは売れない。

すると、向こう岸では
劣悪なマッチを売る少女の前に長蛇の列ができていた。


「なぜだ! なぜ俺のマッチは売れないんだ!
 こんなにも完璧で最高の商品なのに! 安いのに!」


マッチ売りの中年男は再び商品改良を進めた。