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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第二十話

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交わした言葉はこの後車に乗って目的地に着くまでなかった。
何かを思い、何かを考え、何かを話そうと思っていると時間だけが過ぎてゆく。
まともに運転している野口の顔さえ見られなくなっていた。
悪いことをするのではない。許されない事ではあっても悪いことではない。
何度も心の中でそうつぶやく。

車は京橋を過ぎてホテルが密集している桜ノ宮のエリア内に入った。
そこは東京の鶯谷、新宿と並ぶ大阪の有名な場所だった。
野口はよく来ていたのだろうか迷うことなく一つの建物に車を入れた。
ドアーを開けて降りた私の手を握り、入り口まで歩いた。
自動扉がゆっくりと開く、案内が始まる。

「いらっしゃいませ。パネルにランプがついているお部屋を選んでカードをお取りください」

野口は迷わずに最上階のスイートルームを選択して出てきたカードキーを持ってエレベーターの前に歩き出した。
この間二人は黙っている。私はつないでいる手にうっすらと汗が滲んできた。彼もそれは感じ取ったであろう。
部屋の前でカードを差して扉を開く。
いきなりすべての明かりが灯った。

「貴子さんのこと好きだよ。こんなかわいい人とここに来れてドキドキしてる」

そう言った野口はすぐに抱き付いてきた。
少し上を見上げるようにして唇を重ねる。スイッチが入った。
ベッドに押し倒されてさらにディープなキスになる。

わたしはシャワーを浴びたいと思ったがこのままでも構わないと身体の力を抜いた。
スカートの中に手が入ってきて、指が敏感なところに軽く触れた。
きゅっとお尻が締まる。感じたのだ。