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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 5

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同日ラジオから真珠湾攻撃の大成功が報じられると、日本中が沸いた。
天皇陛下万歳の合唱が深夜まで続いていた。
本作戦の中心人物山本五十六は陛下に戦果を報告した。
大本営では次なる作戦を五十六から提案されたが全艦引き上げるように決定され、真珠湾に停泊していなかった敵空母を追撃する作戦は却下されてしまった。

幸一が乗っていた空母「蒼龍」の指揮官、山口少将も執拗に南雲司令官に空母追撃の命を下されたいと申し出ていた。
それは真珠湾での味方の損害が少なかったことで、十分追撃の力が残されていると判断していたからだ。偵察機を飛ばして敵空母を探したいとの要望はついに受理されなかった。

瀬戸内海の海軍基地に連合艦隊が帰還して周りは大騒ぎとなっていた。
軍港に幸一を出迎えに裕美子は女将と待っていた。
軍艦マーチが鳴り響く中、空母「蒼龍」はゆっくりと停泊した。
ここに帰還すると幸一から電報が届いていた。女将は裕美子に出迎えに行こうと話して、電車を乗り継いで前日から待っていたのだ。

以前五十六から裕美子へと渡された着物を新調して、お腹のふくらみを締め付けないように帯を巻いて、この日の晴れ姿として幸一を出迎えてあげたいとの願いがあった。
桟橋から続々と下船してくる兵士たちは出迎えた関係者や家族に万歳の大合唱の中、誇らしく敬礼をしながら宿舎へと向かっていた。
裕美子を見つけた幸一は駆け寄り、大きく敬礼した。