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墓荒らし、、、夢の中の影

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この数日間、男は歩き続けた。人生のすべてを捧げた英雄の突然の消失に戸惑い茫然自失の男は、突然の英雄の死から数日間、途方にくれ、ただ彷徨った。

 男が意識も定まらないままにある村に辿り着いた際、その哀れな姿を見かねた一人の女が、この男に一切れのパンを与えた。男は掌に乗せられたそのパンを口に入れる。ゆっくりと噛みしめ、喉を通って胃袋に落ちるまでの時間の中で、男は考えた。英雄の死。それは事実なのだろうか。人々は英雄が死んだと口々に言う。しかし、それを見たものはいるのか。
 男は更に流浪をするうち、三人の男と一人の女に出会い、その言葉を聞いた。それらは英雄が復活したというものだった。その言葉を聞いたのは勿論この男だけではなかった。四人の弟子たちの言葉は、一種の集団幻覚のようなものだったのであろうと受け入れられ、その言葉はそれぞれの言葉の食い違いから、村人には疑いを以てあしらわれていた。しかし、男にはそれらの話の僅かな食い違いこそが真実の証だと感じずにはいられなかった。

 ある日曜日の朝、男はとうとう英雄の埋められた場所に辿り着いた。そこには英雄には相応しからぬ小さな墓石が佇んでいた。そして英雄が埋められているであろうその場所は掘り起こされて荒らされ、大きな穴が空いてしまっていた。
「これが復活の証…、馬鹿な…。」
 男は穴の理由を推理してみる。弟子たちの仕業…。英雄と敵対していた者たちの仕業…。それとも中立の立場で傍観していた者たちのいたずらか…。
 小さな墓石には、ある言葉が記されている。男はようやく辿り着いたこの地で、墓石に記されたこの言葉が英雄のものだとは信じられず、疑心が生まれていた。あらゆる事が煩わしく思えて眩暈すら覚えた。ここまできてようやく男は初めて英雄の死を受け入れる心が整ったのかもしれない。ただ男の目の前にあるこの穴は、この文字は、なにを意味するものなのだろうか。墓石にはこう記されている。