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Koyamaのアネキ
Koyamaのアネキ
novelistID. 57062
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かみなりさんと歌う橋②

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2.何がおこったん?



「わあ、でっかい橋やなあ」
 あんまり大きいので、かなちゃんは気が遠くなってしまいそうになりました。
(どんくらいあるんやろ? スカイツリーとどっちがでっかいかな)
 そんなことも考えながら、かなちゃんはぼうっと橋に見とれていました。
 そのうちに、どうしたことでしょう。あたりがうすぐらくなってきました。
「こらああかんなあ、雨やふってきそうなど」
 お父ちゃんのその言葉で、かなちゃんはどうしてあたりがうすぐらくなったのか分かりました。
(入道雲が出てきたんや)
「いややなあ、雨やかふったら。かさもってきてないもん」

 かなちゃんがお母ちゃんの顔を見上げたときでした。
 がらがらがらっ、どーーーーーん!!!
 かなちゃんはびっくり。思わず目をつぶり、耳もしっかりおさえてからだをちぢこめました。
 それでも、音は耳に入ってきます。
 がんがら がらがら ごろごろごろ
 かなちゃんは片手をのばし、手さぐりで、シートの背もたれにかけてあったキャップをとりました。
 それをしっかりかぶり、くつをぬぎすてると、いちばん後ろのシートにころがりこみました。
 青い色をしたこのキャップは、かなちゃんの大のお気に入り。何かこわいことがおこったときやかなしいときは、いつもこれをかぶって元気を出すのです。
 でもなぜか、今日は元気が出ません。キャップをしっかりかぶっていても、やっぱりこわいままなのです。
 かなちゃんは、ぶるぶるふるえだしました。
「ははは、かなはこわがりやのう」
「かな、そないこわがらんでええんよ。車の中おったらこたないんやけん」
「れんとやか見てみい、こないかみなりなっても、まだ寝よるぞ」
 お父ちゃんとお母ちゃんはわらっていますが、かなちゃんはもう、なきだしそうです。
「ほやけど、車がゆれたんやで! 車におちてきたらどうするん? ばくはつするかも知れんやん!」
「するかいな。金(かね)のとこだけつたって、地面に行くんやけん」
「かなはおもっしょいことを考えるなあ」
 そう言って、お父ちゃんとお母ちゃんはまたわらいました。しかしどんなにわらわれても、こればっかりはどうしてもがまんができませんでした。
 かなちゃんは昔から、大きな音が大のにがてでした。運動会のピストルの音やかみなりの音を聞いただけで、心臓がはれつしそうになるのです。
(そいなこと言われても……こわいもんはこわいんやて)
 そんなことを思いながらしばらくじっとしていると、二人の話し声も聞こえなくなりました。なぜか車も止まっていて、エンジン音も聞こえません。耳に入ってくるのはどしゃぶりの音だけです。
(お父ちゃんもお母ちゃんも、寝よるんやろか。れんくんも、まだ寝よるんやろか。ようがまんできるなあ、れんくん……)