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みやこたまち
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そののちのこと(鬼)

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第十二章



 雪が降った。静かな一日だった。郵便配達が一通の封筒を、穂積信夫の家に配達していった。女が封筒を取り、郵便配達の姿を見送った。赤い自転車は、落ちてくる雪の中に、いつの間にか消えた。玄関を閉め、まっすぐに書斎にあがり、ちょっと封筒を見た女は、唇の端を持ち上げるようにして笑った。
 「穂積信夫様、だって」
 信夫は苦笑しながら受け取り、象牙のナイフで封を切った。かなり厚い便箋の束が、顔をだした。信夫は軽く目を走らせていたが、じょじょに眼差しが真剣になり、最後には手が震えだした。そして読み終えると、きちんとたたんで封筒に戻し、鍵付の引き出しにしまいこんだ。
 女はソファーに座って、その一部始終を見ていた。
 「なんですの?」
 信夫はあいまいに頷くだけだった。
 「私にも、見せてくださいな」
 女は、戯れるように信夫に寄り添い引き出しの鍵を奪った。信夫は黙って机から退いた。女は封筒に無造作に破ると、便箋を広げた。そして、見下ろすように文字を追っていたが、すぐに、便箋を取り落とし、信夫に向かっていった。
 「あなた、こんな手の込んだことをなさらなくったって」
 「いや、私は知らない」
 「そんなはずは無いわ。あなたは私を捨てようとなさっているんだわ」
 「本当だ。私は、こんなものを出した覚えは無いのだから」

 二人の間に沈黙がおりた。手紙は多田一郎からのものだった。信夫は放心した女の足元から封筒を取り上げ、消印を調べたが、滲んでいて判読できなかった。女をソファーに座らせ、信夫はもう一度、手紙を読み返した。