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Hysteric Papillion 第4話

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妙に顔を赤らめると、店員さんたちは、あたふたしながら近づいてきた。

服を自分で見るなんていうことが初めてな私にとっては、店内に流れるBGMも、この階、そして2階とも1階とも言えないような高さに広がる、もっと言えば中1階くらいの半端な高さのところに服が並んでいるのは、不思議な光景でしかなかった。  

「…それじゃ、行きましょう」   

私が感心して見入っている間に、とんとん拍子で話は進んでしまっていたらしく、腕を引っ張られて連れて行かれた先は、アコーディオンカーテンに仕切られた小部屋だった。

シャツとカーテンを引いて2人で入ると、かなり狭い。

三側面を一面、鏡で覆われていて、そのさらに頭上にも鏡がある。   

変な部屋だ。

そもそもまず、2人でこんなところに入って何をしようというのだろう?

カーテンを閉めると、薫さんは待っていましたというような顔で、隠し持っていたリボン状の何か長いものを取り出し、胸元に手をかけ…る?!

!!!???   

乱暴というわけでもないけど、ぐっと力いっぱいスカーフを引っ張られて、私は、首を激しく横に振ったり、手で払いのけようとしたりと抵抗した。  

「ちょッ…何するっ…」  

「あっ…こら、暴れないの」   

そう、茶目っ気いっぱいに言うと、薫さんは私の両腕をまとめて、手首を左手で握り、後ろの鏡に押し付けた。   

この細い腕でも、かなりの力があって、動かせなかった。  

…もしかしたら、変な男性向け雑誌とかに載ってるやつみたいに、手首縛ったり、体を縛ったりして、何かするのだろうか?というとんでもない推測が湧き上がる。  

…さっきのキスのときといい、この部屋の中でのことといい、この『危ないお姉さん』の強引さに押し切られている気がする。   

ここで、何とかして逃げなくては。   

先ほどまで抱いていた、少し寂しそうだなとか、怖い…なんていう感情より先に、本気で身体の危機だと思った。

「や、やめてくださいっ!!」  

「い、や」   

耳元でそう区切るように言う薫さんは、すっかりスカーフを外して、上着のボタンを外し始めてた。

さらに、作業は進んで、スカートのチャックに手をかけているところだった。

ジリジリとテンポよく外されていく音が、自分の肌を徐々にあらわにしていく。

先ほどの殴り合いの興奮と、この人に与えられる今までにめったに感じたことのない変な気持ちよさに、肌が赤く染まっていく自分がわかる。  

「や…だっ…」

「確かにお見事、かな」  
  
薫さんは、意味ありげに笑いながら、そう言った。









ええ、どうせ悪いですよ。









ブラジャーのホックも外されて、カップがずらされて、あごの下のあたりにまで来ていた。 

胸元をはだかれて、ほとんど中学生、いや小学生体型といってもいいくらいやせて、胸のふくらみもない身体が現れる。

自分で言うのもなんだけど、触った感じが、ペタペタッという感じ。   

スタイルも抜群の薫さんの前だから、自分の姿がいやおうなく見える鏡の前だから、目を閉じていた。

…それより何より、本当に、今日で会ったばっかりの人に、こうまでされていいんだろうか?

何だか、異端者?背徳者?になってしまった気分だった。   

だが、そんな気持ちから我を取り戻すきっかけの感覚が、ピクッと訪れた。   

ひんやりとした感覚が、文字通り、体をぐるりと囲んでいた。  

「…あ…れ…?」  

「うーん、大体のサイズはだっこしたときにわかってたけど、図ってみるものね?ウエストが55それから…84と」   

ひんやりとした感覚をもたらしてくれたのは、薫さんが隠し持っていたリボン状のもの、メジャーだった。   












私って…私って、もしかして、一人でいやらしいこと考えてた…?!   













薫さんは、そんな私の顔を見ながら、また察したように、  

「何か変なこと考えてたんでしょ?縛られるんじゃないかとか」  

「ッ…しって…」  

「大丈夫よ、してほしいのなら、後でたくさん可愛がってあげるって」  

「結構です!!」  

「あーあ、私も嫌われたものね。それから、股下に……やっぱり足長いわね、モデルになれるわよ」   

安心してください。

モデルになる気なんて一つもございませんっ!!

薫さんは、シュルッとメジャーを戻すと、今までのことを笑いでごまかすようにしながら、ゆっくりと背中のチャックを引き上げていった。   

私も嫌われたものね、なんて、心の隅でも思っていないようなことをずけずけとよく言うことで…。

そのとき、薫さんが素直に服を戻してくれていたので、油断していた…。   










唐突に、外気にさらされていたはずの胸にぬくもりが生じた。   










薫さんは、ブラを戻す前の生の体に触れて、おへその辺りから、胸元までをまさぐっていた。  

「でも、これじゃ、なんだか満足できないよね」  

「わわわ…何し…」   

もっと手の動きが大きく、早くなる。大してボリュームのない…って言ってたら泣きそうになるけど、そんな私の胸元だけを中心にして…。  

きわどい感じのところに手がぁ…。

「大丈夫大丈夫、私が今度から毎日触って大きくしてあげるから」  

「そんなところ触るなーっ!!大声出しますよ!」

「もう十分出してるじゃない?それよりも、今朝みたいな可愛い声出そうよ」

「いやです!!」

「これでもかなぁ」

「いいかげんにしろーっ!!」   











…大声出してたからどうにかなったんだ、多分。

ギャアギャア叫んで、一般客に不審がられもしただろうけど。











それでも、変な気持ちになるよりマシだったんだ…。













ぜえぜえ…。

そういう風に、散々体をもてあそんで、私を変な気持ちにさせて満足したみたい…。

薫さんは、カーテンの中から出ると、ズボンやスーツとか、どちらかというとスポーティな服がハンガーにかけられているところに連れて行った。

まるで、この店のことを知り尽くしているかのように、バスト…は置いといて、ウエスト55、ヒップ84にあたる服をパパパッとすごい速さで見繕って、私の体に合わせていく。   

首のところまで襟がある『たーとるねっく』っていう服とか、分厚い生地でできている『じーぱん』というズボンとか。

私があまりにも落ち着きなく目をきょろきょろさせているので、とにかくいろいろなことを教えてくれた。

どの服も、ほとんどがテレビや本の中でしか見たことのない服ばかりだった。  

「君は背もあるし、体のラインがすごくきれいだから、こういうのなんてどうかな??ね?」   

薫さんがそう言ってものすごく強く勧めてくれたのは、その『じーぱん』というズボンに、ちょっと小さめの黒のシャツだった。

シャツの真ん中には大きな虹色の蝶が描かれていて、それは、地味なような、派手なような、でも不思議と落ち着いた雰囲気の模様だった。
作品名:Hysteric Papillion 第4話 作家名:奥谷紗耶