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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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勇者ゼミの落第者

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「ようこそ豚ども! 勇進ハイスクールへ!
 ここでは貴様ら家畜を勇者に育て上げるためのゼミだ!!」

勇者候補の生徒たちは一心不乱に勉強を続ける。
俺もそれに遅れないよう必死にペンを走らせる。

「魔王とは、ずるがしこく卑怯で、口が悪い!
 そんな相手に勝つために勇者学が大事なんだ!」

「「「 はい、先生! 」」」

「では、テストの採点結果は廊下に張り出す!
 成績優秀者のみが勇者になれることを忘れないように!」

「「「 はい、先生! 」」」

この日のためにどれだけ勉強してきたか。
必ずや勇者になって、仲間(主に女)をはべらせ
街を救った見返りにあんなことやこんなことを……





150人中
 ・
 ・
 ・
150位 真央


「うそーー!?」

結果はまさかのビリ。

「さて、結果は見たようだな豚ども。
 1位のみが選ばれし勇者になれる期末試験は明日だ。
 勇者になりたくば、しっかり勉強するように!」


「「「 はい、先生! 」」」


ゼミが終わると、必死に教科書の記憶をはじめた。
といっても辞書なみに厚い教科書を覚えるなんて……。

「できるわけないだろっ!!」

やっぱり俺に勇者なんて向いてないんだ。
でも、勇者になってちやほやされたい気持ちもある。

となれば。

 ・
 ・
 ・

「試験開始!」

試験が始まると、みな一斉にペンを走らせる。
そんな中俺は片目に眼帯をしていた。

ものもらい、なんて説明したけど本当は違う。

「(フハハハハ! カンニングさまさまだ!)」

眼帯の下、片目だけを魔法で家の教科書へと転送する。
これならカンニングだと気付かれることもない。

何度見直しても100点の回答ができあがった。


「やめっ! それではテストを回収する」


後日、勇者が選出された。


勇者内定: 勇車くん 99点


「はああああ!? なんで俺じゃないんだ!?」

テストは満点だったはず!!
悔しくて俺はゼミ長のもとへ向かった。


「どういうことですかゼミ長!」
「なにがだ?」

「満点取った俺が落選して、99点の奴が勇者になるなんて不公平です!」

「ああ、君はたしかに満点だったな」
「だったらなんで!!」

「満点だからおかしいんだ」

ゼミ長はテストを出した。

「このテスト、1問だけ確実に解けない、習ってない範囲が出されていたんだ。
 だから、満点は100点ではなく99点。
 満点を取ったお前はカンニングで勇者失格により合格というわけだ」

「失格ですか……ん?」


失格? 合格?


「このテストは2つの目的がある。
 1つは次の勇者がどういうやつかの情報収集。
 そして2つ目は……」

「2つ目は?」

「私の後継を選ぶこともかねていたんだよ」

ゼミ長が本当の姿を見せた。
それはまるで……。

「おめでとう、君は合格だ。
 そのずるがしこさ、魔法を悪用する知恵、完璧だ」





数年後、魔王城へと勇者がやってきた。

「やい魔王! やっつけてやる!」

今や第2期魔王となった俺が玉座から見下ろす。

「フハハハ! 来たか勇者! ゼミに受かりやがってこの野郎!
 どうせ勇者の地位を利用していい思いしているんだろう!
 このリア充めっ! ここで爆ぜて死ね!!」



「この魔王なんか個人的な恨みがすごいんだけど!?」
作品名:勇者ゼミの落第者 作家名:かなりえずき