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レイドリフト・ドラゴンメイド 第4話 遠くなる家路

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 最後の種族は、全身が白い肌。というよりうっすら輝いている肌をしており、肥満体とは無縁なほっそりした姿をしている。
 スーツは白で、色つきの飾もついていない。

 映像からネット検索してみる。
 金属の羽を持つ種族には地中竜変異体。
 結晶を背負い、わかめのような髪を持つ種族には海中樹変異体。
 輝く種族には天上人変異体と書かれたウインドウが並ぶ。
「何これ、どういう事!? 」
 天上人、地中竜、海中樹。
 それはスイッチアに住む、人間以外の知的生命体だ。
 しかも、人の世界、チェ連を敵視している。

 達美達も戦ったことがある。
 だが天上人は光り輝くガス状生命体。
 地中竜は身長10メートルはあるワイバーン。
 翼や口から火を噴射することで、超音速で空を飛び、攻撃に使うことができる。
 海中樹は、巨大な結晶体を中心に育つ巨大な木。大きさが40メートルにまでなることもある。
 この結晶には不思議な性質があり、いくつに砕いてもそれぞれが受けた衝撃をほかの結晶に送ることができる。
 海中樹は、惑星を挟んでヤンフス大陸とは反対側の赤道にある無人島に結晶を敷き詰めている。
 そこで太陽光線を集め、他の結晶に送っている。
 海中樹はそうして、深い海底でも太陽光線を受け止め、生活圏としているのだ。
「でも、なんて変わり果てた姿に……ああ、なるほど」
 原因はやはりボルケーナだ。
 人間より巨大な彼らにコミュニケーションを取りやすいようにと、人間に近い姿を与えたのだ。
 
「天地創造めいた事まで、できるようになってんのか……」
 その修行の成果に、流石というか、もはや負けん気も起きないというか……。
 まあ、うまくいくよう祈ることにした。
「あれ? 」
 ふと気になって、スイッチアの装甲車を見る。
 その砲塔には、中からコントロールするためのカメラがついている。
 それは大きなもので、ボルケーナの中を見ることも余裕でできるだろう。
「何事もなければいいけど……」

「パパ! この人にも、とっても助けてもらったの! 」
 待つ間も退屈させないように、という心配りだろうか。
 キャロは家族を連れて、生徒会のメンバーを紹介して回っている。
 次に引き合わせたのは、赤い髪と濃いひげを蓄えた、30代の男性だった。
「こちらティモテオス・J・ビーチャムさん。環境美化委員会会長。
 文明が崩壊した世界でただ一人生き残った、凄腕のサバイバーよ! 」
 紹介されたティモテオスは、明らかに壮年といった体躯だ。
「初めまして。ティモテオスです。
 ご協力に感謝します」
 だが、その視線は落ち着きがなく、及び腰になっている。
 ただの会話が、ティモテオスには恐ろしくて仕方がない。
 それを察したのか、キャロの父親はすぐさま握手を求めた。
「いえいえ。今回は食事のデリバリーですよ。
 あなたのことについて、興味がありました。
しかし、なかなか分からないものですな」

 キャロの家は、いわゆる財閥だ。
 その関係者が興味を持つということは、自分の能力のことか? とティモテオスは考えた。

 ティモテオスは幼いころ、元住んでいた惑星で惑星全土を滅ぼす戦争に巻き込まれた。
 彼と彼の家族はかろうじてシェルターに逃げ込んだが、そこにわずかな割れ目があったのだ。
 戦争での最後の爆発からは生き延びた。
 だが、外は制御する者も無く様々な有害物質が保管場所から漏れ出す世界。
 それによりティモテオス以外はすべて死に絶えてしまったのだ。
 そんな環境から彼を救ったのは、自らの異能力だ。
 彼の能力は、自らの細胞を強化、肥大化させることで、宇宙空間にも耐えられる体を作る。
 いわば、巨人化。
 それにより、生き延びることができた。
 だがそれは、たった一人で22年間生き続けることを宿命づけた。
 今、彼は32歳の高校2年生。
 3年前に異世界を回っていた武産に見つかるまで、孤独な生活を送っていたため、人とふれあい方が最近ようやくわかってきたところなのだ。

 だが、キャロの父は斜め上に吹っ飛んでいた。
「学園内で流行っている酒のことですよ。
 まったく、魔術学園の機密主義にも困ったものです。
 ですが、安心してください」
 と言って、空いた左手でボルケーナの中を指さした。
「わたしの酒コレクションはちょっとしたものでして、すべて持ってきました! 」
 酒好きの二人は、がっちりと手を握り合った。
「それは素晴らしい! 」
 ティモテオスは、心からこの出会いに感謝した。

「次はこの子! 真脇 達美さん。この子にも―」
 キャロが達美を紹介し始めた、その時。
【狛菱 武産です。突然ごめんなさい】
 頭の中に流れたのは、武産のテレパシ-による声だった。
「ちょっと待って。キャロ」
【チェ連人の方は、思ったよりこじれそうです。
 それと、ここではあまり後の未来までは予知できません。
 いわゆる達人たちの居る状況では、事前にこちらが予知を参考にして活動しても、相手は瞬時に対抗策を出してくるからです。
 うまく未来が見えて、せいぜい5分後と言ったところでしょう】
 予知能力も、武産個人の能力だ。
 同じ能力を持つ一磨でも、結果は同じだろう。

 そう思った矢先。
【? 5分以内に敵襲!
 2分か、1分後かも知れません! 】
 武産が予知した映像と音が、テレパシーでいきなり見せられる。
 今さっき降りてきた山から、爆発がお怒り、木々が地面ごと吹き飛ぶ。
 取り払われた地面の下から、何本もの光る煙が、勢いよく立ち上がる。
 それはミサイルだ。
 そのミサイルは上空で方向転換し、達美達がいるところへ向かってくる。
 その落下地点には、全身鉄でできたワイバーン。
 濃い輝く霧のようなもの。
 日光を放つ結晶を抱き込んだ大木が。
 3種族の真の姿だ。
 人間化の魔法は、駆けられた者の意思で簡単に外れるのだ。

「短距離弾道ミサイルです! 」
 叫んだのは一磨だ。
「早くボルケーナの中へ入ってください! 」
 レイドリフト1号が拡声器で叫ぶ。
「早く! 早く! 」
 その声が響くと同時に、儀仗たちが一斉に動き出した。
 戦うすべを持たない生徒会の家族や取材陣を囲み、手を引くなどしながらボルケーナへの道を駆け上がる。
「立ち止まるな! 走れ! 」

 達美にも叫び声は聞こえていた。
 だが機械化された視界には、PP社の備品の証、緊急配備計画が映し出されていた。
 作戦に直接参加していない達美が、それに従う義務はない。
 だがそれを見た時、彼女の気持ちは決まっていた。
「達美!? どこ行くの!? 」
 キャロが呼びかけるが、彼女の足は止まらない。
 達美がしたこと。それは人の列を逆走し、誰もいないところまで走ることだった。
 全身のメカニックは、全く問題なく動いてくれている。
 これまでの激戦から、みんながまもってくれた結果だ。
 サーボモーターやアクチュエーターなどの消耗品も、地球と連絡がついた直後に純正品を受け取れた。

 達美は、自分はつくづく恵まれていると思っている。
 よくある冒険小説なら、主人公は1人か3人。