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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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メダカさんと金魚さん…時に卵と赤ちゃん。

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この日は久しぶりの餌だったので、同じやり方で後二粒あげた。
“おいしい~。”
と聞こえた気がした。
お母さんにそのことを伝えたら、
『割り箸じゃなくて、おさじに入れてあげたら?!』
と一言言われた。
その一言で感動が薄れた…。
おさじで出来るのかと疑いながら、次の日やってみたらそれの方が楽だった。
しかも転覆さんが泳いでおさじの中の餌を取るので、泳ぐ訓練にもなった。
次の日にはしっかりお糞が出たので、腸はしっかりと動いていると分かった。

そして金魚さんコーナーが終わるとメダカさんコーナーへ…。
金魚たちは家の中だけど、メダカたちは二鉢は玄関の下駄箱の上、後は全部外にある。
なのでスリッパを履いて外へと繰り出す。
餌を…と思うが、とその前にすべき事がある。
メダカの卵チェックだ。
母の日に贈った、出目メダカ→青メダカ→パンダメダカの順番で卵チェックをする。
届いたその日に出目には卵が付いていた。
これはラッキーだった。
メダカを上から観察してお腹に卵が付いているかをチェックする。
付いていたら小さなタモで掬(すく)って、網越しからそっと卵をお腹から外す。
そしてメダカさんを容器に返して、卵は卵だけの容器へ。
メダカの種類が混ざるといけないので、種類ごとの容器へ移す。
なので新しいメダカ分の三つ容器が増えた。
でもなかなか取れないこともしばしばで、メダカが死んではいけないと水に浸けては引き上げて…の繰り返しもある。
そして次の容器へと行くのではなく、ホテイソウ(ホテイアオイ)を掴み根っこなどに卵がないか調べる。
全ての容器にホテイソウがあるのでこれも全てチェックとなる。
これが本当にしんどい…。
小さなホテイソウなら良いけど、大きく成長してるものは根っこは長いし藻は絡みつくし…なんて状態になると嫌になってくる。そんな所に限って卵があるから困る。
藻をちょっとずつ剥がして一粒の卵を採取。
これが一つの命を生むんだと心に芽生えると諦められなくなる。
ここが私の弱い所なのかも…。

そしてその後、お母さんが元々飼っているメダカの容器へと移り渡る。
黒メダカ→ヒメダカ→白メダカ→(十メートルほど離れて)混ざり物メダカの順にチェックとなる。
混ざり物メダカの容器が一番数が多い。
それ以外は十匹前後までだが、この容器は五十匹を超えるほどだから、一番初めに心が折れた容器だった。
セメントを練るプラスチック容器に雑に飼育されている。
これは本当に心が折れた…。
だんだんとどうでも良くなってくる。
この容器の卵はすぐ隣に置かれている同じ容器の中に集める。
混ざり物メダカの中に一際目立つ白メダカがいる。
お母さんはそのメダカを“大将”と呼んでいた。
大将と呼ばれているがメスのメダカだ。
私はいつも見ていて思っていた。
メダカと言うより…魚だ…と。
そう言いたくなるくらい目立った。
そしてここのメダカたちは臆病者の集団だった。
容器の半分くらいまで板で影を作っているのだが、人が近寄るとその中にほとんどが隠れてしまい誰もいなくなる…。
でも、板をパカッと退けるとちゃんとメダカはいる。
ただ板を退けられると大将含めみんな慌て出すが…。
“すんまへん…。”と声をかけるが、それを見たい気持ちもなくはない。

そしてやっとメダカさんたちの餌やりとなる。
玄関に戻って餌を取りに行き、また出目メダカから始まる。
出目・青・パンダは一緒に来たのに、青は一番臆病でパンダさんは一番社交的だった。
最初からパンダさんは水面にまで来て口をパクパクさせていた。
でも青は十二匹もいるのに容器の底まで下がって身を潜める。
違いが分からなかった。

そしてそんな中、私のポケットにはDSが入れられている。
行ったり来たりするので餌やりだけで千歩は超える。
田舎過ぎるので、家から出てもほとんど誰ともすれ違わなかった。
たまにすれ違うと、ゲーム嫌いなお母さんと感動していた。

そして餌をあげ終え、二時間もしない内に巨大な赤白の水槽では早くも睡眠に入る。
どの水槽にもビンが入れられていて、その中に入って眠る。
特に巨大な赤白の水槽はビンに入りっぱなしなくらい、一日の半分くらいビンの中にいる。
そして黒出目さんと小さい赤白は同じビンの中でいつも寄り添って眠っている。
仲の睦まじさを毎日感じていた。
その二匹でビンの中はいっぱいなのに、しょっちゅう巨大な赤白が出入口を蓋するように入ってくる。
もう一つ大きなビンがあるのに、わざわざ二匹の中に入ってくる。
そんな巨大な赤白は誰よりも爆睡をする。
ということは出入口でそんな巨大な金魚が寝ていたら、先に入っている二匹の金魚は出たい時に出られなくなる。
本当にその通りで、黒出目さんも小さい赤白も目が覚めてビンから出ようとした時に、大きな金魚が立ちはだかる中、もがき出ようとする。
二匹はもがいて体当たりをして跳ね返されて、それを何回か繰り返す。
でもそんなことをしても歯がたたないダメな時もある。
そんな時は、諦めてそのまま眠る。
上手く行く時は、何度も巨大な赤白にぶつかって、眠っている巨大な赤白がビンから少し押し出されて、出来た隙間から必死で逃げるように出て来る。
そんなことをされても巨大な赤白は眠っている事が多い。
そんな三匹とは関係なく生きている白点さんは誰よりも小さいので、小さなビンにスポッと収まって、誰にも邪魔されず一人気持ちよく眠っている。
それがこの水槽の毎日なのだ。

パクパクさんの水槽ではパクパクさん以外が、たまにビンの中で寄り添って眠っている。
そう言えば、パクパクさんの近くではあんまり誰も寝てないかも…。
パクパクさんと白のパクパクさんは離れて眠っている事が多かった。
金魚の世界も人間の世界も嫌われてはこうなるのかと思い知らされた。

不対称さんは一人なので何もない。
ただただ水槽の底まで沈んで死んだように眠る。
死んだんじゃないかと毎日思うほど、微動だにせず眠るので、顔を近付けて観察する。
一~二ミリほど口が開閉しているので生きていると分かる。
私は肯き安心してその場を去る。

そしてそして転覆さんはと言うと、…お腹を出しいつも浮いている。
そんなある日、転覆さんにバケツ半分ほどの水面に、半月型のプラスチックの網を付けてあげた。
お腹が水面から出ているので、そこが乾いてしまったり赤く腫れたりするので、これはいかんと思い百均で使えそうな物を買ってきた。少し水に沈めているのでその下にいられれば、お腹も乾かないという工夫。
その網の下に潜るようにしっぽを突付き始めたら、驚いてバチャバチャ泳ぎ始めた。
でもお腹が邪魔をして網の下には潜れない。
初めは声をかけながら手助けをしていた。
一週間ほどそれが続いた。
ある日、いつものようにまた網から出て来ていたのでしっぽを突付いたら、案の定お腹が支(つっか)えて網の下に潜れなかった。
手助けしようとしたら、転覆さんが浮いたままバックを始めた。
何をしようと言うのだろうかと私は手を引っ込めた。
上手に手を使い一五センチほどバケツの縁に沿ってバックしたと思ったら、勢いよく泳いで網の下へと潜った…。
なんと…それは助走だった…。