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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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お母さん畑。たまにあいちゃん畑…。

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ちょっとしばらく…、旦那さん(彼氏)が出張となったので、一ヶ月ほどお母さんの所へ帰って来ている私の最近…。
お母さんの所には30m×20mほどの畑があって、今年お母さんは畑デビューをした。
お母さんは全く野菜作りが分からない初心者ときた。
私はベランダのプランターレベルだけど野菜を作っていて、お母さんよりは野菜を作るのは上手だと思う。
それで今回丁度帰ることとなったから、私も本物の畑をしようと意気込んでだけど、旦那さんと離れるのは寂しいと思う気持ちを背負ったまま帰って行った。
そしてお母さんの家へと帰って、私も畑デビューを果たした。

お母さんの家に帰って二日後、先ずは私なりの道具をホームセンターへと買いに行った。
じいちゃんの使っていた道具もたくさんあったけど、時代は変わったようで軽いシャベルやらフォーク型の土を耕す道具やらがお安く売っている。
それを手に入れ、もんぺを履き農作業用の帽子を被り長靴を履いて手袋をはめ、いざ出陣っ!!と畑に向かった。
畑を見渡し全体的にお母さんがあれやこれやを植えている。
何処が空いているか…と探したら、奥の方がまだ手付かずのまま…。
そこに行ってシャベルとクワを使い、境界線を作った。
それが私の初めての作業だった。
そして5m×5mくらいの土地を確保。
そこから土を耕し始めた。
筋肉はないし体力もないし…すぐに休憩が入る…。
遠くからお母さんの声が、
『お母さんより休みすぎーーーっ!!』
と聞こえて来たりする。
私は遠くから無言で睨む。
お母さんにまでその睨みは届かず、また同じ言葉が届く。
なので私は叫んだ。
『うるさーーーいっ!!』
と…。
お母さんは私の思いを理解したようで、
『体力はお母さんの方があるっ!!』
と捨て台詞を吐き去って行った。
始まったばかりでこのザマだ。

お母さんの家に帰る前から、お母さん畑の土たちに、
『深くまで耕して欲しいよ~。下の土が固いの~。根っこがたいへ~ん。』
と言われていた。
電話でそのことについてはお母さんにも伝えていたけど、
『こんな広さの畑を深くまで耕すのは無理よ~。初めて耕うん機を使ってるんだからね。それだけでも大変なのに…。だからあなたが帰って来た時にしなさい。お母さんにはその声聞こえないから…。』
と言い訳か何か分からないけど逃げられた。
そんなことを畑たちは言うものの本当かどうかは分からない。
百聞は一見に…なので、買った道具を持って、先ずは畑たちが言っていた柔らかい上の土を退けてみた。
三十センチ程の柔らかい土を退けると本当にその下は粘土質の固まってしまったような土が出て来た。
畑たちが言っていたのはこのことかぁ~と納得した。
三十センチ程の土を退けた後、出来たら五十センチほどを掘って欲しいとのことだった。
ちゃんと測ったわけではないけど、大体そのくらいまで掘って出来るだけ耕した。
そして掘った穴に一番上の土を入れて、土をひっくり返した。
吉と出るか凶と出るかは分からないけど、畑たちに言われたようにしてみた。
そしてそんなやり方をして畝(うね)を三本作った。
一本作るのに数日かかったので、三本が限界だった。
そしてこれがあいちゃん畑となった。
お母さん畑は柔らかい土が三〇~四〇センチ程の深さで、あいちゃん畑は六〇~七〇センチ程の深さとなった。
いろんな野菜を作ってみて、お母さん畑とあいちゃん畑で実験が始まった。

私が帰った時にはもうお母さんはいろんな苗を植えていた。
トマト×六・ナス×三・ピーマン×二・ニガウリ×四・キャベツ×二・ブロッコリー×二・きゅうり×四…と大体このくらいあった。
私は一応いろんな野菜の種を持って帰っていたけど、お母さんが植えているものとを比べて、一本目の畝にゴボウを蒔いた。
お母さん畑には根菜がないのでゴボウは良いと思った。
そして別の道具が欲しいのでまたホームセンターに行った。
その時にまだたくさん苗が売られていると知ったお母さんは、買い物カゴを手に取り選び出した。
トマト×四・スイカ大玉・小玉×四・山芋×二・ししとう×一・唐辛子×一・ナス×二…を買った。
私は目が細くなりながらも一緒にいろんな苗を見て回った。
その苗たちを持って帰って、その日には植え替えなかった。
数日してその苗の中の山芋だけ一つもらって、あいちゃん畑に植え替えた。
これもどっちの方が育ちが良いかの実験のためだった。
私の畑は深くまで耕しているので、根菜を多めにしようと思った。
なので大根・カブ・人参の種を買って蒔いた。
ゴボウを育てている畝だけは幅が他の畝よりも倍あるので、その隣に人参を蒔いて、二本目の畝には大根とカブを蒔いた。
二本目の畝の端っこに種から育てたズッキーニ二つを植えている。
三本目にはモロッコいんげん豆の種を蒔いた。
いんげん豆は五つ芽が出た。
何でも赤ちゃんはかわいいので、ついつい話しかけてしまう。
そのいんげん豆の横にお母さんトマトの脇芽から作った苗を三つとズッキーニ一つを植えている。
これがあいちゃん畑の全ての野菜たちだ。

そんなこんなをしている間もお母さんはたくさん買ってきた苗たちをそのままにして水だけ与えていた。
ある時に、その苗たちの横を通っていたら、ある一つの苗が、
『あの~、ことさん(仮名;お母さん)は、いつ…植え替えを…。』
と申し訳なさそうに私に聞いて来た。
なのですぐお母さんにそのまま伝えたら、
『あっ、今日します!!今日、必ず植え替えま~す。』
と返事をした。
その言葉を聞いて苗たちがホッとして、
『あっ、その言葉を聞いて安心しました。ありがとうございます。』
と言ったのでお母さんに伝えた。
お母さんも申し訳なさそうに、
『すみませ~ん。』
と小さな声で苗たちに声をかけた。
苗たちは申し訳なさそうに会釈していた。
そして夕方になってまだ苗たちがそのままだったので、お母さんにそのことを伝えたら、
『あっ、忘れてた!!え~っと、今日はもう時間がないので…、明日…。うんうん、明日する。明日しま~す。』
と苗たちに声をかけたら、苗たちも、
『あっ、大丈夫です。では明日よろしくお願いしま~す。』
と返事をした。
そして次の日…、雨だった。
苗たちに変わってお母さんに、
『お母さん、昨日苗たちに約束したよねぇ~。』
と私は冷めた表情冷めた声で言った。
お母さんは一言、
『雨だから仕方がない。』
と言った。
苗たちにもそれは聞こえていて、
『大丈夫ですよ…、雨ですからね…。』
と思いやりのある回答が来た。
それをちゃんとお母さんに伝えると、お母さんも気持ちを察したのか慌てて、
『あっ、明日…、あっ、雨が降っていなかったら明日植えます。』
と苗たちに声をかけていた。
苗たちは優しいので、
『あっ、はい。よろしくお願いします。』
と言った。
私が、
『この苗たち仲が良いから近くに植えてあげたら?!』
と言ったら、お母さんが、
『近くかぁ~。植える場所決めてるからねぇ~。』
と困っていたら、苗の誰かが、
『あっ、大丈夫ですよ。離れててもお話は出来ますから…。』
と言った。
お母さんはそれを聞いて、
『分かった。じゃあ、離す。』
とサラッと言ったので、苗たちが、