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ぎーくおぶじえんど
ぎーくおぶじえんど
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偽電車男 第一部「栄光と地獄」②

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28.別れ


マリちゃんとはこんな話をした。

「俺のせいで人間関係悪くなってすいません。」
「気にしないで」
「俺がマリちゃんが俺のこと好きなのかと思って勘違いしただけです。このメールももらいましたよね。」

(やっぱりシンイチさんがいるから無理です というメールを見せる)

マリちゃんもそうだったなぁという顔をした。

「泣かせたのと勘違いもしたし」
「私泣いてないよ」
「そっすか。後、ミズキさんには本当に恋愛相談に乗ってもらっただけですよ。特に何も関係ないし。」
「そうなんだ。」
「本当すいませんでした。」
「次のところ決まったの?」
「地元で働きたいって言ったので、多分地元の方ですね。」
「次のところでも頑張ってね。」
「ええ、ありがとうございます。」

キョウスケさんとはこんな話をした。

「俺のせいで人間関係悪くなってすいません。」
「俺は気にしてないよ。」
「(この野郎ライバルがいなくなるってにやけてやがる!)そっすか、すいませんね。 次は多分こっちのエリアじゃなくて、地元のエリアになりそうです。そのまえに休職期間ありますけどね。」
「(にやつきながら)まぁ、ゆっくり休めよ。」
そして、俺はクソ野郎にもちゃんと頭を下げた。

サトウが、「彼は今日でいじめが終わるのに、なんで辞めるんですかね。」
とか笑いながら言ってたが、俺はわかっている。
まわりが脅迫しているので、マリちゃんは本当は快く思ってない。
まわりが脅している件で、マリちゃんは本当に嫌がっている。
本当はシンイチさんが良いってね。
まぁ、まわりのせいでキョウスケさんとマリちゃんはいずれ別れるだろうけど、俺の知ったこっちゃない。
こんなこと教えても、俺の得にならないし。

ヤマさんは、ワタセさんから俺のことを聞いていて心配してくれていたが、本当に申し訳なかった。
ちゃんと体調悪くなったからと言ったが、ヤマさんは事情を知っていたようだ。

「俺が守ってやろうとしたんだけど、ごめんな」
「いいんですよ。ありがとうございました。次のとこも明るく頑張ります。」

深々と頭を下げた。

俺はちょっと休職して、新しい地元のエリアで頑張ろう、そう思った。
そして、その日から2日くらいかけて、引越しの手配やらは事前にやっといたので荷造り荷造り。
それまで買ったジャケットとか、色々なもの売却して処分した。
靴系は7足あったのに、6足売ったので1足になった。
結構プレミアものあったのに。

急な引越しで、引越し代も自分持ち。
最後の部屋代、ガス代やら電気代もすぐに精算して払わないといけない。
そのために色々処分してお金を作った。
カードで借金もした。

そして、引越しの日、業者に荷物を出してもらい、俺も手伝った。
掃除も済ませて、部屋のものが全て無くなり、すっかり最初の状態に戻った部屋を見渡す。

マリちゃんとの思い出、ミズキさんとの思い出、仲間たちとの思い出、それらが頭をめぐった。

(マリちゃん、ミズキさん、二人とも幸せにね・・・次の客先でも、結局派遣なんて立場弱いんだから、最低限のコミュニケーションでいいんだ。派遣は客先社員の気分次第やら何やらでいじめられる立場だし、そんな奴らとつるむ必要はねぇ!ヤマさんたちは本当に良くしてくれたが、派遣の会社内の色恋沙汰に介入してきた客先社員は本当にむかつく。そして悪口を流して追い出そうとした、キョウスケ、ピンポンダッシュやらさまざまな嫌がらせをしたサトウ、真実を隠蔽したエイイチロウ、あいつらのことは絶対に忘れない。めちゃくちゃ言ってまわった、客先社員もだ。まぁ、いいや。次は適当に頑張ろう。)

そして、その日の夜、愛車のGC8に乗り、実家で休養するよう言われた俺は、
実家に向けて高速を走った。

ここで最初の場面に戻ろう。
これまでが、まだ第一部って感じさ。
俺は見知らぬパーキングエリアで愛車に戻り、ラジオをかけ、缶コーヒーをすすり、また新しい煙草に火をつけた。

第一部「栄光と地獄」 完