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フラメント
フラメント
novelistID. 55928
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書き散らした言葉たち 2012.7

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<花に>



花が 夢見て 咲くならば

夢のあとまで 抱きたい


花が 虚しく散ろうとも

咲いた想いを 忘れずに


<王様の耳は>


思うことが書けなくなってたから

言いたいことが書けなくなっていたから

だから こんなとこで こっそりと

小さな声で 囁いてるのさ

オウサマノミミハロバノミミ

ってね


<ボクを濡らして>



堪えきれず 溢れだしたものは

ずっと 零れ続けるのだろう


曇る想いが 晴れるまで

ずっと 吐き出る事だろう


時に 激しく

時に 音もなく


やがて 澄み渡る

爽やかな風が吹くまでは





<招かざる来訪者>


幾重にも重なる

厚く白い雲を従えて

抜ける空が青く広がる


刺すような焼ける日差しに

白旗の汗を滲ませて

諦め顔で夏を迎える




<夏>


此の そぶ降る雨が

やんだなら


またひとつ

熱い眼差しが射すのだろう


此の 降り続く雨が

やんだなら


またひとつ

爽やかな吐息が吹くのだろう


訪れに 胸を痛め

ときに

訪れを 待ちわびながら


季節の移りめを

濡れながらボクは感じている





<別れ>


自ら撒いたのに

芽吹いたと嘆くのは

お門違いだ


自らが手放したのに

不服に思うのは

お門違いだ


離れたのは

ボクじゃない


降りたのは

ボクじゃない


飽きたんじゃなくて

呆れ果てただけ


冷めたんじゃなくて

さよならしたいだけ




<華を摘みに>




ボクの想い

聞こえないなら


冷めたお茶など

飲みほそう


キミの言葉

意味わからないから


見ないテレビ

つけてみよう


ありふれたすれ違いは

とてもいつも 退屈すぎて


お決まりの苛立ちなど

もう既に 飽き飽きで


キミを置いて

華を摘みに

今日も出かけよう


ボクを愛でる

華を捜しに

外に出かけよう






<家族>


それぞれに

違う想いで


それぞれに

違うものみて


通い合うものも

僅かだけど


それでも

まだ

一つ屋根の下





<いつも>


何も聞かず

何も答えず

ただ じっとみつめて

視線逸れるまで

じっと 見つめて




<電柱>


少しだけ曲がった電柱が

幾重にも立ち並ぶ


逸ることもなく

臆する事もなく

ただ 幾筋もの黒い手を伸ばして


無表情に

無感動に

ただ さり気なく手を取り合って


雨風にさらされて

寒暖に揺さぶられ

何想い 何を見つめているのだろう


暮れ逝く細い路地の傍らに

黙り込み

俯いたままの電柱が

寂しげな横顔でならんでいる





<夕焼け>


夕焼けは こんなにも赤いのか



久方ぶりの 晴れ渡る空は

忘れかけていた 黄昏ゆく空は



戸惑いと 驚きと 望郷にみちている





<偽りの自傷>


薄っぺらい刃物のかわりに

ボクは切り刻む


薄っぺらい言葉で心を

切り刻む


毒の香りで

自虐色で

ぶよぶよと不遜な心を切り刻む


生きる意味の赤など滲ませずに

腐りきった闇だけ洩らし


戯れと 暇つぶしの

そんな下らぬ訳だけで

退屈しのぎに 切り刻むのだ



自分と 君と 他の誰かを







<日焼け>


背中の皮がむけると

何かが生えてくるような気がする


背びれなのか

黒い羽なのか


未だわからないけど

隠し持ってる

ツノトシッポトノオソロイダト  イイナ





<慰安>



堪えきれず

零れ落ちた優しさは


人を街を

冷たく癒してゆく


耐え難い暑さに

疲弊しきった週末の街模様に



癒しの雨が

安らぎの雨が

心地よい冷たさで降り注いでいる






<うすべに>


色褪せた金魚たちが

渇いた笊の中

びちびちと集ってる


艶かしく喘ぎながら

白い腹をくならせ

虚ろな眼を晒してる


奪われた

潤いを夢見てるのだろうか

訪れた

渇きに打ち震えているのだろうか



言葉にもならない

薄紅色の呻きを

それぞれに垂れ流しながら





<少年の日々>


すきなものは

好きと

いえる歳になっていた

きらいなものに

向き合えるようには

何とかなれた

でも

やりきれない想いは

今も尚

ボクの心の中で

持て余されたまま

途方にくれている


少年の日々の頃のように





<気高き僅かな同胞へ>


握りつぶされる事なく

黙り込むことなく

自らを抱き続けよう 少数のハラカラよ


多数に流されることなく

世論に惑わされることなく

自らを貫き通そう 少数のハラカラよ


今がなくとも 明日がある

明日がなくとも 先がある


屈することなく 黙ることなく

多数の無謀を非難するのだ

世は 変わりゆくもの

いずれ移りゆくものであるから





<子猫>


痩せこけた子猫が鳴いていた

駐車場の片隅で鳴いていた


惹き潰してしまわぬよう

大きな音を出しそっと車を動かした


子猫は鳴いて僕を見送った




痩せこけた子猫が眠ってる

駐車場の片隅で眠ってる


帰り着いたボクの車の横

焼けるようなアスファルトの上で


もう何も鳴けず無言で眠っている





<五日は詩の語ハム   誤変換の詩>


たぶん いつかは砂の星

いずれ いつかは砂の星


渇いた砂漠に

亡者の群れさ



行き着く先は シの星に

それから先は ムの星に




<まどろむ魚>


まどろむ魚のみる夢は

儚く消えるものでしょう


沸き立つあぶくに似たような

一夜の涙となるでしょう


夢見る魚は漂って

流れにゆられてまどろんで


変わらぬ朝に目覚めては

此処はいずこと嘆くでしょう


涙ながして嘆くでしょう






<夜道を歩いて>


ごうごうと音をたて

夜空が鳴っている


ごうごうと音をたて

曇り夜空が広がるばかり


飛行機なのか

強風なのか


曇り夜空はただ 轟いて

轟いて

ボクの頭上に広がっている





<片手間に綴って>


掴む事は難しく

手放す事は楽なものだ


進む事は耐え難く

後戻りは気軽なものだ


想いに蓋をするのは至難の業で

言葉にするのは片手間だ


だからボクは

いつも楽ばかり

言葉を騙り続けてる





<曝れ頭>


綺麗なお顔も


可愛い笑顔も


一皮むけば


しゃれこうべ



薄皮一枚違うだけ





<人間失墜>


お座成りな会話

型どおりの言葉

らしくよりも

らしくなく


駆け引きの会話

お決まりの台詞

らしくよりも

らしくなく


行きずりのケラクに溺れ

不実な裏切りに身を任す

そんな怠惰な

そんな気怠いひと時が

ボクにはお似合い





<青き情景>


薫風渡る青海原

浴びる日差しに

光りさんざめく


荒夏に臆せず

なびいては立ち直り

日陰の僕らを笑うよう


暑さも風も受け流し