小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
白久 華也
白久 華也
novelistID. 32235
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

怪我猫看病記 ~とら~

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 
 
10月12日 (日)

 迎えに行って、処置された子猫の前脚を見て、さすがの私もぎょっとした。

 まるで図工の作品のようになった前脚。

 骨折したのは尺骨と橈骨(とうこつ)、つまり、人間で言うと、手首からひじまでのところの2本並んだ骨だ。それが両方とも折れているわけで、普通に引っ張って折れ口を合わせた上でギブスで固定ということは、竹ヒゴ程度の太さしかない骨では無理。
 細い細い骨をつなぐため、先生が苦心した結果は、そういう用途に使われるピンではなく、なんと、細い注射針だった。

 4本の注射針を大胆にも前脚に串刺し状態にして、それぞれ尺骨と橈骨(とうこつ)を貫通させ、針の根元(注射筒本体に取り付ける部分)同士、針先の部分同士を石膏のような、紙粘土のようなもので固めて一列につないで固定している。

 穿刺部分と裂傷の部分が近いので、今後感染を起こすことも懸念されるため、1日2回のガーゼ替え、 抗生剤の飲み薬は欠かせないと言われた。
 手の先が少し腫れてきていることを心配されていた。状態が落ち着き、血流がよくなれば多分腫れは引くだろうが、もしこれ以上腫れてしまうようなことがあれば、それはまた良くない兆候らしい。

 指示された家庭でのケア方法は、次の通り。
 ガーゼにはたっぷりとエルタシン軟膏(抗生剤の軟膏)を塗り、裂傷に貼り付ける。さらに裂傷と穿刺部分を大き目のガーゼで覆い、テープで固定する。
 以前保護した、ミシェルの包帯巻きは暴れるので大変だった。
 今回も大変だろうと、ちょっと憂鬱になる。何せ元気だし、固定に使われているのは注射針。出っ張っているし。


 
10月13日
 
 ガーゼ替えはミシェルのときに比べ、数段、楽なことが判明。
 暴れることは暴れるが、力の強い警戒心丸出しの成猫とは違い、まだほんの数百グラムの子猫の力はたいしたことはない。
 しかも、穿刺してある針の出っ張りのおかげで、すっぽ抜けにくい。
 ミシェルのときなど、下手したら引っかかれながらやっと包帯まきが終わった途端、ちょっと動いただけで抜け殻のようにすっぽ抜けるなんてことがしょっちゅうあった。
 が、刺さっているものがものだけに、後脚で豪快に掻かれると、外れたときがおっかない。
 考えた末、メリヤスのTシャツ生地を切って、涎掛け状態のものをつくった。ひも状の所を首で結び、ガーゼの上から巻く。人間が三角巾で腕を吊っているような格好。実際には、吊っているわけではなく、前脚は普通に下に降ろせるが。


  
10月14日
 
 経過を見るために受診。
 ガーゼの替え方は褒められた。
 手の先は、ますます大きく腫れてきている。
 
 手の先の腫れがひどくなったことを先生は気にされている。
 そして、初めのうち巻いていた固定包帯のときよりも、だらっとして力が入らない様子。肉球の辺りに爪を立て刺激を与えてみた先生は、一応反応しているから、神経を損傷したわけではないと思うのだけど、と思案げ。

 
 
10月16日
 
 エルタシン軟膏は、たっぷり使っているため、あっという間に減ってくる。軟膏をもらうため受診した。
 手の先の腫れがほとんど引いたことに先生も私も安堵。麻痺が残るかどうかはこのまま様子を見るしかないようだ。
 もう一回手術をやり直すのは、麻酔のリスクもあるし、せっかく固定自体はうまくいっているのを、いじるのも、得策ではないということだ。

 裂傷の縫合糸を一部抜糸。こちらは治りが順調で、先生も驚いていた。
 


 
10月19日
 
 受診。
 レントゲン撮影の結果、先生はちょっとがっかりしていた。
 骨のくっつけ方がちょっと曲がってしまった、と。
 
 レントゲンの結果はそうでも、わたしたち素人が外側から見た感じでは、このままくっつけば、まったく気にならないだろうと思える。

 割り箸より細い、凧の竹ひごくらいの骨をつなぐのだ。厳密にまっすぐなんて、考えただけでも無理な話。最悪、化膿して壊死を起こし、断脚することも、菌が全身に回って敗血症とかを起こして命を落とすこともありうると覚悟していた。

 あえて問題を感じるとすれば、あまり、見た目や機能が悪いと、そのせいで、里親探しがより難しくなるであろうことくらいだ。幸い元気だし、成長のほうにはなんら問題がなさそうだ。



10月23日

 ガーゼ替えの時、骨を固定するために刺してある4本の針のうち、 裂傷に近い穿刺部分が少し化膿してきたようなので、その部分にも直接抗生物質の軟膏を載せて様子を見ることにした。

 今までは、ガーゼに軟膏を塗ったものを貼り付けているだけだったので、穿刺部分にまんべんなく軟膏がかぶっていなかった。 穿刺部分は、漿液がほんの少し出ていたが、量も減っていたので、あまり気にしていなかった。

 これは、まずい兆候???
 せっかく、ここまで来て・・・
 


10月30日

 今朝も早くからニャーニャーうるさいなあと思って、覗き込んだら、びっくり!

 怪我の治りかけが痒いのか、しきりに後ろ足で掻いていたのが気にはなっていたので、かなり厳重にガーゼとメリヤスの生地で穿刺部分と裂傷部分を覆っていたし、相変わらずエリザベスカラーもつけてあったのだが。

 なんと!

 ガーゼを外したどころか、穿刺してある注射針のうち、2本を自分で抜いてしまって、ぶら下がっていた。 中途半端に抜けてぶら下がっている針先が、ちくちく当たるというか、刺さる危険がある。
 4本とも全部ぬけているわけではなく、根元はがっちりと粘土のような石膏のようなものでつながっているままだ。

 これは大変。

 私が全部引っこ抜いてしまうことも考えたが、前回、もう少し固定しておいたほうが、骨がしっかりくっつくだろうということだったので、そーっと他の所に抜けた針が刺さらないようにボール紙で添え木のようにして、病院が開くのを待って一番乗りした。

 先生も想定外だったようで、たまげていた。

 結局、レントゲンをとり、骨はほぼくっついていることが確認されたので、串刺し状態の注射針は全部外して、裂傷の手当てに専念することになった。
抗生剤の飲み薬はもう少し続けるように言われた。 そりゃそうだろう。骨そのものに刺してあった針を抜いたんだし、化膿している傷もあったのだし。
 とはいえ、傷の治りは快調で、心配した化膿もすっかりよくなった。 邪魔なものはエリザベスカラーだけになったので、やんちゃ盛りの本領発揮で、運動会している。元気そのものだ。




11月4日

抗生剤がなくなったので受診。裂傷のかさぶたが全て取れていた。
エリザベスカラーを外すことになった。体重1060グラム。
少し出っ張ってきていた、縫合糸をカット。
抗生剤はもう、不要とのことで、経過観察のため、2週間後にレントゲン撮影する予定。
 



11月15日

 裂傷部分もかなり皮膚が再生され、毛も生えてきて、この分だと傷跡が見えなくなるのもあと少しだ。若い(幼い)ということは、こんなにも回復能力がめざましいものなのだなあ、と改めて実感する。