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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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久しぶりの訪問。

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宗教の勉強を止めて数カ月後、勉強をしていた時と同じ時間・同じ曜日にインターホンが鳴った。
インターホンに出る前に、おばちゃんがカメラに映っていたので驚いた。
もう来ないと思っていたからだ。
でもお母さんは、
“また来るよ。おばちゃんたちは諦めないから。あなたを勉強に戻そう戻そうとするから…。それにあのおばちゃんはプライドが高そうだから、尚更意地でもあなたを戻そうとするよ。”
と言っていた。
そしてお母さんの方が的中した。
さすが、お母さん!!勉強をやっていた長さが長い分、おばちゃんたちの先までも読めてしまう。
そしてインターホン越しに一度出て、玄関へと向かった。
扉を開けると満面の笑みのおばちゃんがいた。
そこは変わらずだった。
ちゃんと一人での訪問だった。
そこもちゃんと守ってくれていることはありがたかった。
私もいつも通りの笑顔で、
『こんにちは。今日はどうしたんですか?』
と聞いた。
おばちゃんは満面の笑みで、
『勉強をお止めになってしばらく経ちますが、その後まだ何かとお話はされてるんですか?』
と聞いてきた。
私は心から、
『はい、変わらず話しています。“神様はいなくなりません。”と言われます。』
と答えると、満面の笑みは消え肩を落とし、
『はぁ~、そうですか~。まだその何かとお話されてるんですね。分かりました。私どもがこんなに言ってもやっぱり分かって頂けないんですね。』
と言われた。
何かこっちが悪いことしてるみたいになった。
おばちゃんがそう言うのなら、こっちの気持ちも分かって頂けてないってことになるのに、どうしてそこには気付かないのだろう…と疑問が出るけども、そうとは言わず、
『いいえ、おばちゃんが教えてくれた通りの人ですよ。神様もキリストも…。とても優しいですよ。』
と私は答えた。
おばちゃんは一瞬で豹変し、
『いいえ、違います。』
と早口で言った。
『えっ?!神様もキリストも優しいですよ。』
『いいえ、違います。』
とおばちゃんの答えは変わらない。
『えっ、じゃあ神様とキリストは優しくないんですか?』
と私は聞いた。
おばちゃんの表情は一気に緩むとニッコリ笑って、
『いいえ~、神もキリストもとっても優しいお方ですよ。』
と心を込めながらそう言った。
『やっぱりそうですよね!!同じじゃないですか~。神様とキリストは優しいです。』
私がそう言うと、おばちゃんはまた豹変して、
『あなたが喋っている何かと私どもが信仰している神とは違います。一緒にされては困ります。』
と言われた。
そしておばちゃんは続けて、
『あなたは私たちのようになりたいとは思わないのですか?あなたにはとても大きな霊感があると思うんです。それを間違った方向に使うのは、とても危ないことなんですよ。それを私は何度もあなたに言って来たはずです。私がこんなに言っても分かりませんか?』
と懇願するような表情で言った。
『そのことなんですけど、神様に、神について証す者にならないと救われないとか復活出来ないとか言われるんですけど本当ですか?と私は聞いたら、“どうして私が神について証す者だけを救うと差別するのですか。そのような差別はしません。”と言われました。』
と私は言った。
おばちゃんはどう返して来るかと待っていたけど、顔を引きつらせ途方に暮れるような姿で私と目を合わせたまま、声になるかならないかくらいの声で、
『ぇぇ~…。』
と聞こえた。
どういう意味か分からなかった。
なのでもう一度、
『神様は差別はしないと言っています。』
と伝えた。
二度目の言葉におばちゃんは我に返り、
『そのことは良いので、兎に角、あなたは私どものようになりたくはないと…。分かりました。』
と早口で答えた。
話を変えられたので、差別については結局答えはなかった。

私はもう一つおばちゃんに言った。
『神様とキリストは本当に仲が良いんですね。本当に二人は会話をするんですね!!』
私はそこについては、初め本当に驚いたのでそう言った。
そしておばちゃんの返しは、
『いいえ、仲良くありません。』
と冷たく返された。
私は驚いて、
『えーーーっ!!神様とキリストは仲良くないんですか~?!』
と聞いたら、おばちゃんは驚き、そしてニッコリして、
『いいえ~!!神とキリストはとっても仲良しですよ。』
と言って微笑んだ。
私は聞き間違いかと思い、
『ですよね~。あ~、良かった。やっぱり神とキリストは仲良しですよね?!』
と終わるつもりが、また冷たい表情になり、
『いいえ、仲良くありません。』
と言い切られた。
私はおばちゃんと目が合ったまま首を傾げた。
そんな私におばちゃんはニッコリと笑った。
意味がわからず、もう一度、
『神とキリストは仲良くないんですか?』
と聞いたら、またおばちゃんは驚いた表情をして、
『いいえ~、とんでもない。神とキリストは仲良しですよ。』
と当たり前に言われた。
私はまた首を傾げた。
おばちゃんは今度はニッコリではなく、バツが悪そうな顔をした。
そして、話を反らされた…。
結局、これもちゃんと答えてはもらえず、うやむやで終わった。
おばちゃんは本当に人に勉強を教えたいと思って今まで勉強して来たのだろうかと疑問に思った。
勉強を教える人が上から目線とか、偉そうにしては誰も付いていかないのでは…と思う。
おばちゃんたちがいつも言ってるように、こういう時こそ“謙虚でなければ…。”が必要なんだと思う。
でも、上に言わせたら、“謙虚であろうと思うこと自体が《欲》であると私は思いますがね…。最初から謙虚な人はそうなろうと思う前から謙虚な人なんです。謙虚な人が《今から嘘付きになろう》と思ってもなれません。それと同じことです。”となる。
私はこれを聞いて、悔しいけど…納得してしまう…。

そしておばちゃんに、
『もう一度勉強を始めるつもりはありませんか?』
と聞かれたので、
『あっ、おばちゃんがいつも合同の勉強会で、私の事を祈ってくれているのも知っています。“宗教のおばちゃんが祈ってますよ。”と神様が教えてくれます。』
と私が答えるとまたおばちゃんは途方に暮れたような表情をして、
『はい、毎週祈ってます…。』
と自分の思いとは反してか口から言葉が出たように感じた。
でも私はそんなおばちゃんを無視して、
『はい、祈って頂いてることには感謝しています。でも私はやっぱり最初と思いは変わらないので、証す者にはなりたいとは思いません。すみません。』
と言った。
『そうですか…、私どものようにはなりたくはありませんか…。』
『はい、気持ちに応えられずすみません。でも、おばちゃんが教えてくれた“祈り”についてなんですけど、本当に心から祈るとそれは神様まで届くんですね。おばちゃんが祈ってる姿も見えたので、おばちゃんが教えてくれたことは本当なんだなぁって思いました。凄いですね!!神様って!!』
と私が言うと、上が私に耳打ちするように、
“おばちゃんの祈りが私の所まで届いてるかは別として、祈ってますよ~と教えただけです。おばちゃんには言わなくて良いけど…。”
と言ってきたけど、もちろんそれをおばちゃんに言わなかった。
おばちゃんは私の言葉を聞いて、引きつりながら、
作品名:久しぶりの訪問。 作家名:きんぎょ日和