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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 時は6月2日の未明、ドンドンと闇を劈(つんざ)く種子島。迎え撃つ信長の手勢はたったの100人。
 信長は「明智が者と見え申し候」と蘭丸から報告を受け、言い放った。「是非に及ばず」と。
 意味は、やむ得ぬ。だが信長の真意は――必然的な結果。
 すなわち信長が仕掛けた罠に光秀がまんまと嵌まったということである。

 その策略とは、光秀を追い込み、謀反を起こさす。そしてそれをテコに、反逆に荷担した公家/朝廷を徹底的に壊滅させてしまうことだ。
 言い換えれば、信長はすべてを知っていた。光秀が朝廷と共に造反を企てていること、またその時期が、光秀が詠んだ愛宕百韻から、近日中だと。

 そこで信長は公家衆を招いて茶会を催し、その後少人数で本能寺の寝所に入った。これは自ら囮(おとり)となり、光秀に本能寺を攻めさせること、それが目的だった。
 あとは地下道を通って南蛮寺へと抜け、安土城へと引き返す。そして兵を興し、一気に京へと攻め上がり、朝廷を滅亡させてしまう。
 結果、信長が国王となる。こんな謀略だった。

 蘭丸、火を放て!
 戦国の世を駆け抜けてきた。そして未来へ向けての――本能寺炎上。
 急ぎ、地下道を抜けようぞ!

 しかし、信長に思わぬ不運が。放たれた火が火薬に引火し爆発したのだ。
 その爆風で地下道は崩れ、走り抜ける信長に土石が覆い被さった。
 本能寺の変は日本史上最大のミステリー。だが、それは信長が企てた一世一代の鬼謀だった。しかし神は許さず、罰として、永遠に地下に埋めてしまったのだ。
 こうして信長の遺骨は二度と発見されることもなく、今も京都の元本能寺町の住宅地の地下に眠ってる。

 さっ、耳を澄ましてみよう、声が聞こえてくるから。

 人間(じんかん)五十年
 下天(げてん)の内を くらぶれば
 夢まぼろしのごとくなり