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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 これは大介にとって予期せぬ展開だった。あとはドラマのようには行かないものだと肩を落とし項垂(うなだ)れるしかない。そんな大介に幹事が気を利かせたのか、夕子を壇上へと呼んだ。
「夕子さん、今のお気持ちは?」

 幹事が訊くと、夕子は申し訳なさそうに……、
「大介君、私、青春ドラマの杏奈のように嬉しいわ。だけど、ちょっと……、ね」と答えた。
 これに大介は顔をキリリと上げ、男らしく告白し直すのだった。
「夕子さんを、生涯……見守ります!」
 いつの間にか大介の目には男の涙が。
 こんな事態に、「見守ることが、最上の守ることだよ!」と熱い友情の言葉が飛び、あとは拍手の嵐が巻き起こった。

 だがあまりにも切なすぎる。それでも大介は、見守ることこそ、初恋の人への永遠の愛だと思い、さらに確信するのだった。
 この瞬間こそが――青春からの卒業――だ、と。