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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 オオオの勇気は、ウウアアの森から脱出し、危険なサバンナを横切り、オイオイの森へと友人の家族を移り住ませること。早速二人に手を差し伸べ、新世界を目指して第一歩を踏み出した。

 されどもそこはサバンナ、食うか食われるかの猛獣ワールドだ。アアイとアアエはブッシュに身を隠しながらの四足歩行。しかし、ナイスガイのオオオは違った。周辺に獰猛な獣が潜んでいないかを随時チェックするため、高難度の直立二足歩行を決行した。
 結果、オオオは1時間の二足歩行を完遂し、友人の妻と娘をオイオイの森へと無事エスコートしたのだった。

 ここまで受講した高瀬川、だが、もう一つ腑に落ちず、あらためて挙手。
「先生、ハッピーエンドで良かったと思いますが、この講義のキモは……、一体何ですか?」

 こんな直球を受けた先生は高瀬川をギョロッと睨み、そのあとは淡々と締め括った。
「人類の証は二足歩行。オオオは勇気を奮い立たせ、直立二足歩行でサバンナを踏破した。これこそが類人猿から人類へと進化した原点です。つまり、君たちが今、人として存在しているのは、オオオの『イオイエ エアウア ウウアイア』、――義を見てせざるは勇無きなり――があったからなのです」

 な〜るほど、500万年前の一つの勇気が現代人の我々へと繋がっていたのだ!
 聴講生全員は起立。そして最初の人類、オオオの勇気に、拍手喝采を惜しまなかったのだった。