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ゼロ 第1章

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硝煙の刺さるような匂いと鉄くさい血の匂いとが混ざり鼻につく。

回りを見渡せば民家は燃え崩壊し、そこら中に死体が転がっている。

中には女性や子供の死体まである。まさに地獄絵図だな、と内心嘲笑しながら思う。

自分は何のために軍に入ったのか、どうして自分はこんなことをしているのだろうかそんなことを考えていると呻き声が聞こえてきた

「うぅ…くそっ」

それは敵兵の生き残りだった、おそらく自分の仕留め損ねた内の一人だろう。

此方を視界に捉え確認するとおぼつかない足で立ち上がり銃口を向けてき

「ふざけやがって…この悪魔どもがぁ!!」

乾いた銃声がなった…が、倒れたのは自分ではなく敵兵のほうだった

「おい!お前なにやってんだよ!」

声がした方を見る、すると此方に駆け足で駆け寄ってくる兵がいた

確か同期に入隊した奴だ、顔は覚えていたが名前は覚えていない

「お前もう少しで撃たれてたぞ!」

「そうだな」

「そうだな…ってお前なぁ…まぁそれは置いておくとして、今の奴で仕留め損ねたの何人目だよ」

「さぁ」

「20人だよ20人!もうミスっていうレベルの数じゃねぇよ!…お前もしかしてわざとか?」

「………」

「そうか…まぁいいや、でもそんなことしてたらいつか殺られるぞ」

そいつは聞いても無駄だと思ったのか、それだけ言いその場から立ち去ろうとした。

「なぁあんた」

「ん?なんだよ」

「あんたは何で軍に入ったんだ」

「何だよ唐突に…まぁ何でって言われてもなぁ……小さい頃からの憧れだったてのもあるけど、結局は家族のためだな、ほら軍に入れば給料もいいから家族を十分に養えるし兵士の親族はもしもの時に優先的に国が守ってくれる、あともし俺が死んでも国が家族を養なってくれるからな」

「そうか、ならこんなことをしているのは何でだ」

「何でって、そりゃぁ命令だからだろ?」

「命令だから…か」

命令だから指令だからこんなことをするのか?どうして?何故?何のために?
口には出さなかったがそんなことを永遠と考えていると無線機の受信音が鳴り出した。
確認すると作戦終了の通知と帰投命令を知らせるものだった

「悪かったな、わざわざ時間をとらして」

それだけ言い帰投命令に従うべく歩き始めた








作品名:ゼロ 第1章 作家名:とーや