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老人は林檎を眺めている

その瞳は林檎の皮のような

輝きをしていた

老人は林檎に唇をあてた

そして

前歯をあてたが

噛むことはできなかった


柔肌の乳房に

初めて触れたとき

その肌に歯をあてたのは何故

その時の疑問を問う

林檎を食べるたびに

老人は最初の一口をかじる時に思う


林檎の形が崩れ

恋人は衣服を纏った時の女ではなかった

それが生きる営み

形ある美しさを

こころの

美しさを

歯は破壊する


噛み砕きながら前進する

生きるとは

残酷でもある