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月とコンビニ
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novelistID. 53800
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間隙

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間隙
【著】大島恭平
【登場人物】
 新井
 菅谷

●電車内で二人が座っている。
新井  …
菅谷  …
新井  菅谷はさ。
菅谷  ん?
新井  正直どうだった?
菅谷  あー……面白かった、かな?
新井  あぁ。だよな。面白かったよな。
菅谷  新井は?
新井  うん。面白かった。
菅谷  あんまりいい顔してないけど。
新井  うーん。面白かった…のかな?
菅谷  知らんよ。
新井  だよな。
菅谷  てか、アイツめっちゃ噛み倒してたな。
新井  あぁ。そこは絶対に噛んじゃだめだろってとこで噛んでたな。
菅谷  もうね、一気にスーーーーってなったわ。
新井  分かる分かる。
菅谷  まぁ他の役者さんもギリギリだったけど。
新井  あの眼鏡かけたお兄さん?おっさん?なんか変な間があったよね?
菅谷  あったっけ?
新井  ほら、なんかレジ袋から部屋の鍵を取り出してさ
菅谷  あーーー池に放り投げるシーンね!あったあった!え?今の間はセリフ忘れたの?ってなったわ
新井  結構な時間、みんな固まってたし。
菅谷  あれ演出かぁ?
新井  ちょっと怪しいよね。
菅谷  うんうん。
新井  …
菅谷  …
新井  …
菅谷  俺たちもさ
新井  ん?
菅谷  俺たちも、こんな風に劇を観終わった後に言われてるのかな。
新井  言われてるだろうね。
菅谷  だよな。
新井  まぁ感想言ってくれるだけありがたいと思うけどね。
菅谷  そりゃそうだ。
新井  …
菅谷  …
新井  俺はさ、ぶっちゃけ今回見た劇、分からなかったんだ。
菅谷  あぁ、俺も正直分からなかったよ?
新井  俺さっき菅谷に聞いたじゃん?
菅谷  さっき?
新井  ほら、劇の感想だよ。
菅谷  あぁ。面白かったって言ったっけ。
新井  うん。それに俺も面白かったって返した。
菅谷  確かにそうだったね。
新井  それがさ、自分でもよく分からなくて。
菅谷  ごめん、今新井が言ってる事の方が、よく分からない。
新井  あー悪い悪い。つまりね、劇のことをほとんど理解してないくせに、咄嗟に出た感想が「面白かった。」だったことが自分でよく分からないんだよ。
菅谷  それは面白いと思った場面があったからじゃない?
新井  それもよく思い出せないんだよ。
菅谷  はぁーなるほどね。いや俺もさ、話自体は正直理解できなかったし、役者もうわぁー凄いって思うほどうまくは無かったよ。でも、なんかこう、特にアイツがさ、生き生き芝居してるように見えてさ、あぁーなんか楽しそうだなみんな。って思えて、そういうことで俺は「面白かった。」って言ったよ。
新井  そっか。うん。確かに生き生きしてたな。アイツ。
菅谷  役者をやってるとさ
新井  おう?
菅谷  お客さんからの「面白かったです。」っていう言葉が怖く感じる時あるんだよね。
新井  あぁ。俺もあるわ。
菅谷  何も言うことがないから「面白かったです」って言ってる時、結構分かっちゃうんだよ。この前もそうだったからさ…
新井  結構自分も使っちゃうんだよね、それ。
菅谷  そう。だから極力言わないように努力はするんだけど。
新井  でも、なんかよかったわ。
菅谷  何が?
新井  少なくとも菅谷の「面白かった。」は、ちゃんとした理由があったってことでしょ?
菅谷  まぁ、理由になってるのかは正直怪しいけどな。

●電車が駅に着く

菅谷 じゃあ次会うのは来週かな?
新井 だね。
菅谷 うん。じゃあお疲れ様。
新井 おう。お疲れ様。

●菅谷、ハケ

新井 「面白かった。」ね。
…………アイツに劇の感想送ってみるか。
                          おわり
作品名:間隙 作家名:月とコンビニ