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よいの?わるいの?

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ある学校の あるクラスの ある日のこと。
国語の時間に先生がおっしゃった。

「今日は 反対語の話です」
先生は、黒板に書き方の時間のように ゆっくり大きくこう書いた。

『 よい  わるい 』

「では、みなさん、国語辞典を持ってきましたか?」
「先生、 忘れました」
「あ、 わるいのぉ」
「はい、わかりました。では 前に取りに来て…」
言葉を発しなかった子を含め、数人が 用意された辞典を受け取りにいった。

「では、この言葉『よい』と『わるい』を調べて書き出してください」
児童たちは、ハードカバーを重そうに開いたり、手慣れてサラサラっと項をめくったりして ノートに書き出した。

教室の中には 机に置く辞書の背表紙があたる音や紙をめくる音、そして 筆記具で文字を書く音が おしゃべりのない空間に心地よく聞こえた。

しばらくして、先生は黒板の前に立ち、児童たちに声をかけた。
「では、書いていこうかな。今日はこの列の人。順番に黒板に書いてください」
一番前の女の子が 『良い』と書いた。
「では、次の人は この字と違うのがあれば 書いてください」
次の男の子は 『善い』と書いた。
ほかにも『酔い』『宵』『好い』『佳い』『宜い』『余威』『よい』とそれぞれに書いた。

その意味を尋ねると『良い』は一般的なことに。『善い』は道徳的なことに。
そして こんな答えも返ってきた。

『酔い』はお父さん的。「赤い顔して でれでれしてる。お母さんは平気なのに…」
『宵』? え、いつごろ?「日暮れたあととか ぁ、前の夜って クリスマスイヴみたい」
『好い』は「好ましいって すきじゃなくて、したほうがいいよ、みたいなことかなぁ」
『佳い』は「おめでたいことかも」
『宜い』は「これは、してもいいよってことだね」
『余威』は「運動会の時のタケシだよな。勢い余って 席に突っ込んでったよな」
『よい』は「もういいじゃん。どうでもよいって…面倒くさがりのオレのことか」

もう出なくなり 『わるい』を書くことになった。

作品名:よいの?わるいの? 作家名:甜茶