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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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宗教のおばちゃんとの勉強~相対性理論~

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キリストが現れてから初めての勉強となる日、いつものようにいつもの時間にインターホンが鳴った。
相変わらずの律儀さに驚く。
そして、真面目で正しいと私は肯く。
私もこうあるべきと…。

いつもの場所に座るなり宗教のおばちゃんは輝いていた。
私はどうしてだろうと気になった。
毎週毎週、私と勉強しては不機嫌になり帰っていくおばちゃん。
次の週には笑顔になって登場していたのだが、今回はいつもとは違って、かなり機嫌が良さそうな雰囲気だ。
お茶を用意して私も座った。
すぐにおばちゃんが口を開いた。

『あなたはいつも科学的に知りたいと言っていましたよね。神がいるとどうして分かるのかと…。全ての物をどうして神が作ったと言えるのかと…。その答えを見つけて来ましたよ。』
と“知りたいでしょ?!”と言わんばかりの表情でおばちゃんはそう言った。
私は、もちろん知りたかったので、
『分かったんですか?!』
と目を見開き、まさかという思いでそう聞いた。
おばちゃんは嬉しそうに笑みを浮かべ、丁寧に話しだした。
『はい。あなたが、どうしても知りたいと言うので、私、調べて参りましたよ。アインシュタインの相対性理論というのを知っていますか?この方が考えた公式があります。エレルギーを…何でしたかね…。E=…何でしたかね…。』
と鞄の中に調べたものがあるのか、“何でしたかね…。”と独り言を言いながら鞄に手を伸ばした。
でも、鞄に手を伸ばしたけど、何かを出すわけではないようだった。
私が、手助けしたほうが良いのかと思い、
『E=mc2…ですよね…。』
と言ってみた。
するとおばちゃんは鞄へと伸ばしていた手をサッと引っ込め、
『そうです、そうです。E=mc2です。』
と笑顔で応えた。
結局、鞄からは何も出てこなかった。
鞄には何が入ってたのかは、未だに謎だ…。
もしかして何もなかったりとか…なんてことも頭を過る…。

そしておばちゃんは笑顔で話を続けた。
『アインシュタインとは素晴らしい方ですね。このような公式を見つけ出したのですから。この公式は、エネルギーはどのように作られるということなんですが…。この前私が教えた、神は全てのものを作ったと…。何もないところから、このように全てのものを作り上げたんですね。そして、それは神の力から作られたと教えましたよね。神の力とは“光”…でもあるんですね。その光から物質が作られるということがこの公式で分かるんですね。この公式を組み替えて、c=…何でしたかね…。c=…。ちょっと忘れてしまいました。兎に角、このように、全てのものは神から作られたと理解できますね。世の中の全てのものを神が作ったと考えてみてください。…どうですか?!…アインシュタインはこの公式で神の存在を証明してくれたんですね。アインシュタインも神がいると知っていたのかもしれませんね…。とても素晴らしいと思いませんか?!』
とおばちゃんは丁寧に教えてくれた。
アインシュタインが神の存在を証明してくれたかどうかは定かではないが、それとは別に私はすぐに疑問が出た。
『例えば、今見えるものの中でどれを作ったんですか?!』
と聞いた。
私は全てのものと言われたから、
“見えるもの全てですよ。”
と言われて終わると思っていた。
しかしそれは違った。
おばちゃんは輝いて周りを見渡しながら、
『ん~、どれでしょうかね~。あなたはどれだと思いますか?』
と聞いてきた。
私はおばちゃんたちとは違って、神様に近付いてもないんだから分かるわけがないし、全部なのだから答えは全部なのではなかろうかと思った…。
でもそうとは言わず、
『分かりません。例えばどれですか?!それはどんな風に作り上げられたんですか?!それを知りたいんです。』
と答えたら、おばちゃんの輝きと笑顔は一瞬にしてなくなり、無表情を超えて多少怖い顔になり、低いトーンで、
『分かりません。』
と無愛想な感じで感情もなくそう言った。
私はそこまでは分からないんだと理解した。
なので、
『あっ、分からないんならいんです。分かることだけでいんです。』
と笑顔で言ったら、またあの早口で、
『ええ、分かりませんよ。私は神について証しするものですからね。聖書の中に書かれていることだけ分かるんです。その他のことは分かりませんよ。』
とまた無感情でそう言った。
でも聖書の中に、アインシュタインも相対性理論という言葉も“神は光である”という言葉も出て来ないらしい…。それはお母さん曰くだが…。
それと今までは、
“神について証しするものなので、神についてだけ分かるんです。”
と言っていたのに、一部抜けてしまったようだ…。

そして、私は話を変えなくちゃ~と思い、さっきの相対性理論に話を戻した。
『アインシュタインの相対性理論についてなんですけど…。』
と言うと、今のことをもう忘れたのかと思うほどの豹変ぶりで、おばちゃんは一瞬の内に輝いて、
『はい、何でしょうか?』
と言った。
こんなおばちゃんに慣れようと思うのではなく、“そういうものなんだ。”と受け入れることの方が手っ取り早いと思った。

そして私は、少し前に相対性理論の本を読んでいた時期があった。
でも、難しすぎて挫折した…。
それでも頭の中からなけなしの知識をどうにか呼び起こした。

『エネルギーからではなく光の力というか、光=力と言うことですか?力というのは神の力なんですよね?!』
と私は聞いた。
おばちゃんは笑顔で、
『はい。光は神の力のことですね。』
と答えた。
私は腑に落ちないまま、
『少し前なんですけど、丁度、相対性理論の本を読んでいたんですけど…。』
と話しながらおばちゃんを見ていたら、おばちゃんの顔から笑顔がなくなる瞬間を見た。私は気にせずにそのまま続けた。
『それで、光から物質を作ることが出来るということは…。』
と言いながら、頭の中だけでは想像出来ないので、ジェスチャーも加え必死におばちゃんに伝えていた。
真剣に聞いてくれていると思っていたから私も真剣だった。
おばちゃんは真剣に聞いていたんじゃなく、心ここにあらずだったようで、我に返ると、私から目を反らし、
『さっ、そんなことはどうでもいいので、先週の続きから勉強を始めましょ。』
と言うと、本を開いたりし始めた。
私はまだ質問があったので、おばちゃんは先に勉強の用意を進めている中、
『この光からどうやって物質が生まれるんですか?!』
と聞いたら、おばちゃんは一切私を見ることなく、自分のノートに書いてある文字を指でなぞりながら、
『その話はもう終わりました。』
と言った。
私は“えっ?!”となって、固まった。
その姿の私をおばちゃんは見ると、
『まだ、用意してないんですか?』
と冷たく言った。
“あっ!!”と我に返った私は、急いで用意し始めた。
その姿を見ておばちゃんは笑顔になり、
『あなたは本当に、勉強熱心ですね。』
と微笑んで言った。
私は、今なら聞いてくれると思い、用意している手を止めず、もう一度、
『光からどうやって物質が生まれるんですか?!』
と笑顔で勉強熱心さをアピールしながら聞いたら、またおばちゃんは無表情になり、ノートに目を落とすと、