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きんぎょ日和
きんぎょ日和
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お母さんに伝えることとなった。~その五~

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前回の話で、キリストが、
[キリスト];(以下 [キ])
『私はなぜあなた方の元へ行きましたか?!』
と質問してきた。

私よりお母さんの方が聖書に詳しいので、これに対してお母さんが答えた。
『それはやっぱり、“贖(あがな)い”だと思うわよ。』
『あー、何かたまに言ってるね、それ。あんまり意味は分かってないけど…。“贖い”って何?!』
と私はまた聞いた。
『お母さんが習ったのは、“人の罪や死を救うため、キリストが贖いを行った。それは神からの大きな贈り物。”って。キリストは、“十字架”にかけられたんじゃないのよ。
“杭”に貼り付けにされたんだからね。いろんな宗教によっていろいろあるみたいだけど、本当は“杭”なんだからね。』
とお母さんはそう言った。
そして、“十字架”か“杭”かの話になるといつもムキになって、そう押し付けるように言ってくる。
それに対して私は、
『別に私は何か宗教をしているわけじゃないから、そんなことを言われても困る。いつも言ってるけど、“だから何…?!”って思うだけだからね。』
といつもと同じ言い分をまた言った。
お母さんがそこで、“うん、分かった。”と言えば終わることなのに、
『十字架じゃなくて杭。間違えないでね。』
とまた念を押してきた。
私にとってはそんなことどうでもいい話なのに…。

そんなくだりをキリストは黙って聞いていた。
そして私たちの言い合いが一通り終わったのを見計らってか、キリストは口を開いた。
[キ];『お母さん、私の“贖い”について、“十字架”か“杭”かがそんなに大事ですか?』
と問いかけた。
お母さんは考えて、
『…だってそう習ったんだから…。聖書のどこにも“十字架”って書かれてないんだから…。宗教の勉強でこの話は何回も聞かされてきてるし、合同の勉強会でもこの話を何回もしてるから…、やっぱり大事だと思うよ…。大事じゃないならどうして何回も勉強してると思うのよ。』
と自信なげに、小さな声でボソボソと言った。
私には分からないから、
『私の声で話してるけど、キリストが聞いてるんだからね。私に答えても私は事実を知らないんだからね。私の知ってることは、お母さんから聞かされてきたことばっかりだからね。それ以上は分からない。』
と答えた。
お母さんは困ってるのか考えているようだった。

そんな空気の中キリストはまた口を開いた。
[キ];『私が現れたのは、人を救いたいという思いからのはずではなかったのではないですか?お母さん。…そう習ったのではないですか?』
と問いかけた。
『はい、そう習いました。』
とお母さんは思わずかそう答えた。
[キ];『では、その“人を救いたい”という思いと“十字架”か“杭”かについて考えるのとどう大事ですか?』
とキリストは尋ねた。
お母さんは考えている。
『…そういうことは習ってないなぁ~。“聖書を正しく理解することが大事”って習ってるから…、やっぱり“杭”が正しいとしか言えない。』
とお母さんが答えると、
[キ];『お母さん、習ったか習っていないかが大事なのですか?それがお母さんの答えですか?私は習ったかどうかでなく、お母さんがどう思うのかの答えを聞きたいのです。』
とキリストは言った。
お母さんはもっと困りだして、
『ん~…、そう言われても…。勉強で習ってることが正しいと信じてやってるから…、お母さんの考えがどうのこうのじゃないと思うし…。』
と言った。
[キ];『確かに、聖書を正しく理解するということは大事だと思います。神の言葉は生きているので、神の考えや思いを知って欲しいと私は願っています。』
とキリストは言ったけど、まだ何かを話そうとしていたのに、お母さんはそれを遮って、『絶対あなたが話してないのが分かった!!“神の言葉は生きている。”っていう言葉をあなたは知らないはずよ。その言葉はね、聖書に何度も出てくるの。大体あなたがそんな言葉を使うはずがない。お母さんは一度もあなたからそんな言葉を聞いたこともない。…はぁ~、キリストがそこにいるのね~。』と急に感動し始めた。
お母さんから“うっうっ…。”と声が漏れてきた。
泣いているようだった。
よくもいるかも分からないものでここまで信じられるなぁ~と私は信じられないまま、お母さんが落ち着くのを待っていた。
もちろんキリストも待ってくれていた。
信じていないのに悔しいけど優しいなぁ~と思ってしまう自分に、悔しさが湧いてくる。私はそんなものに負けたくないので、一人頑張っていた。

しばらくして私が、
『で、お母さんどうなの?!キリストが、“お母さんはどう思うのか?”って聞いてるよ。お母さんは昔からそうで、人に、“こう言われた。ああ言われた。”って言うだけで、そのまま鵜呑みにするから、いざの時に自分の考えを言えなくなるんだよ。たぶんキリストが言いたいのは、人から聞いたことを言うだけじゃなくて、聞いたことを自分ではどう思うのかを聞いてるんだよ。だからお母さんはどう思うの?!』
と強めに言っていると、キリストが間に入ってきた。
[キ];『あいちゃん(私の名前 仮名)、そんなにお母さんに強く言わなくてもいいですよ。私は怒っているわけではないですからね。』
と言うと、お母さんは、
『あなたと違ってキリストはなんて優しいんでしょ。』
と言いやがった。
私はイラッとしたけど、私が何かを言おうとする前に、またキリストが間に入ってきた。[キ];『お母さん、もう一度お聞きします。私は人を救いたいという思いから一度人として生まれましたよね。』
『はい、その通りです。』
[キ];『はい。…では、“十字架”か“杭”かについて話し合いをするために、私は生まれたのでしょうか?』
『いいえ、違います。』
[キ];『はい。…では、その話し合いをすれば、人は救われるということですか?私の“贖い”とはそれだけのためですか?』
とキリストが言っている時に、お母さんから、
『ぁっ!!』
と小さな声が漏れた。
そしてキリストが言い終わると、
『あっ、あっ、あっ…、違う!!…そうよ。そうよ。…そういう風に言われたら違うのがよく分かる。あーーーっ、どうして気付かなかったんだろう。そんなこと関係ないのよ。あー、宗教の人たち分かってないのかも…。』
とお母さんはそう言って、心が慌てているようだった。
それに対してキリストは微笑んでいた。
そして、
[キ];『では、どうして違うのですか?』
ともっと聞いてきた。
お母さんは、
『えっ?!』
と言ったきり答えない。
そんなお母さんに私は、
『お母さん、そういうところ。なんとなく分かっただけじゃダメなんだって。中学の時からお母さんに、“人に説明できないっていうことは、まだ分かってないっていうことなんだからね。”って言われてたけど、今のお母さんがそうなってるよ。そう言ってたお母さんがそんなんじゃ元も子もないよ。そう言ってたんだから、ちゃんとお母さんは答えてよ!!』
とまたムキになって言った。
やっぱり間にキリストが入ってきた。
[キ];『お母さん、ゆっくりでいいんですよ。あいちゃんは厳しいですね。』
『はい。とても厳しいです。』
とお母さんは心からキリストに同意しているのが、私に伝わった。