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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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「紫暮はおまえの跡継ぎとして申し分ない。術者としても一流になる。だがまだ子どもだぞ。いずれおまえの跡を継ぐ重圧が、あいつを潰すことになろう」

何となく、胸が重たくなる。瑞にはやっぱりすべてを見抜かれていて、そして自分を苦しめているのは跡目としての重圧なのだと思い知る。

「性根の真面目さゆえに、あれではグレて発散することもできんだろう。盗んだバイクで走り出すくらいの破天荒さでもあればいいが・・・学校の窓ガラス割るとかさ・・・」

イメージが古い、と内心で突っ込みを入れる。真面目に話してるんじゃないのか、と口を尖らせる紫暮だった。

「・・・うちの何が、あの子を追い詰めるとるゆうんや」

清香の低く抑えたような声が呟くように言う。瑞は間髪いれずに答えを返した。

「自分のしていることはすべて正しいのだから、わたしに従えばよいのだ、っていうその態度がだ」

痛いところを突かれたのか、清香が息をのんで黙り込む気配がした。沈黙。ゲームの暢気な音楽だけが鳴り続けている。

「跡目であるまえに、自分の孫であることを失念するな。もっとかわいがってやればいい」
「・・・・・・」
「完璧をよしとするな。完璧であることだけがすべてだという、それがおまえの生き方なのかも知れんが、それをあの子に強いてはいけない」

瑞が、そんなふうに清香を諭してくれるなんて。予想もしていなかった言葉を聞いて、紫暮は立ち尽くす。余計なお世話だ、とはねつけることができないのは、単純に自分の境遇を理解し、思いを知ってくれる瑞の言葉が嬉しいからなのだろう。

(・・・なんだよあいつ)

いつも嫌味ばっかり言うくせに、と毒づくも、温かなものがこみあげるのを紫暮は感じた。