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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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宗教の勉強後のお母さんとの電話。~その四~

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そして私は勉強の話に戻した。

『宗教のおばちゃんは、“神は大きな心をお持ちなので許してくださるんですね。”とは言ったけど、私は納得出来なかったの。それに気付いたのかおばちゃんは、“信じられなくてもいんですよ。私たちのようになるにはそれ相応の覚悟と心がなければなれませんから。私たちのようになるにはそれ相応の時間がかかるんですよ。でも私は一年ほど~かかりましたけどね。”ってドヤ顔で言ったの。お母さんこれは明らかに自慢と思うんだけど…。神様がいるんならこんなことしないと思う…。神様がなんか可愛そう…。』
と私は言った。
『そのおばちゃんよっぽど自分に自信があるようね。お母さんは神を証すものになりたいと思ってたけど、そんな人たちになってしまうくらいなら、なんかなりたいと思わなくなってきた…。この宗教ってそんな人たちばっかりだったりして…。最初は笑顔だったけど、だんだんと変わってきたのははっきり分かる。』
とお母さんは悩んでいるように感じた。
お母さんとしては真剣に信じているから、間違ってたらショック大きいだろうなぁ~と私は感じた。

『前から思ってたんだけど、お母さんから“宗教というものはないの。これだけが唯一の宗教だから。”って聞いてたけど、宗教というものはないんだから、唯一の宗教もないはずだよ。神様がそんな中途半端に矛盾したこと言うかなぁ~って思ってた。いつの日か、どうしてそういうことを言っていたかを教えてくれると思ってたけど、全然答えが来ないし…。』
と私の思いを言うと、
『あら~、気付かなかった。本当ね~。宗教はないって言ってるんだから、唯一もないわよね~。あなたよく気付いたわね~。偉いわ~。…お母さんもそれしか聞いてないから、あなたの求める答えはないと思うわよ。宗教の人たちも何も分からずそう言ってるのかもしれないし…。』
と言った。

私は玄関でおばちゃんを見送った時の話を始めた。

『神と話すことは出来ませんって宗教の人たちは言うでしょ?!』
と私が切り出したら、
『まだ何かあったの?!』
と好奇心丸出しでお母さんは言った。
『おばちゃんが玄関で靴はいて、いつものように、“それではまた来週。”って言うかと思ったら、振り向いて、“神に話しかけてみてはどうですか?!”って言い出した。』
お母さんは一瞬間があって、
『はっ?!』
と言うだけだった。
私はゆっくりもう一度、
『“神に話しかけてみてはどうですか?!”って言った。』
と滑舌良く言った。
また間があって、
『…ウソーッ!!』
と言ったお母さんが上ずったように感じた。
『うん。だから私も聞き返したよ。話しかけていいのかって。そしたら、おばちゃんは、“はい、大丈夫ですよ。もしかしたら神が答えてくれるかもしれませんよ。”だって。あれだけ“神と話すことは出来ません。それはもうしないと神が約束しています。”って言ってたのに、こんなことを言い出したんだよ。話しかけたらダメなはずではなかったんですか?!って聞いたら、“いいえ~、そんなことはありませんよ。神に話しかけてもいんですよ。”だって。なんだよこの宗教!!お母さん、また矛盾とかのやつ?!』
と私が言うとお母さんは困っていた。
『なんだろう…。どういう意味だろうか…。確かに、神と話せないって聞いてる。おばちゃんもそれを知ってるはずよ…。その後何か言ってた?!』
『うん、私が何て言って話しかけるんですか。こんにちは~ですか?!って聞いたら、おばちゃん怒るわけでもなく笑いながら、“それもいいかもしれませんね。神様~、こんにちは~。神様、いますか~。なんていいですね。”だって。』
『ウソ!!それはおかしい。否定せずにノッてきた~!!そんなことありえんわ~。』
とお母さんも信じられない様子。
私もそうだった。
『何処に話しかけるのか聞いたら、“ん~、どこでもいいので話したいと思った時に話しかけてみてください。”って笑顔で言って、“では、時間がないので…。”って言って帰って行った。』
と最後の部分まで伝えた。
『へーーーっ、何処でもいい?!その話おかしい。…おかしいけども、正しい気がする。でもそれはあなただけ。』
と意味が分からないことを言い出した。
『はっ?!お母さんもおかしいよ。』
『いや、おかしくない。あんたは初めから何もかもみんなと違った。お母さんと一緒に勉強に行った時に、あなたが見た男の子のことをこっちのおばちゃんに話したでしょ。あの時におばちゃんと言ってたけど、あなたはぶどう酒とパンを食べられる人だと思う。選ばれた人しか食べられないから、あなたはきっとそうだと思う。って言ってたの覚えてる?!』
と言い始めた。
『またその話…。私は選ばれるつもりもないし選ばれたくもない。好き勝手に普通に生きる。選ばれても困る。それに、仏教なので。神様はいないしキリストもいたかもしれないけど、どんな人かも知らない。ぶどう酒飲みたいならお母さんが飲んだらいい。』
といつものように私は言った。
今まで何度もこの話をお母さんはしてきたけど、私は宗教に興味がないので、ただただ困る会話の一つだった。
それに、ぶどう酒とパンは美味しいのかとお母さんに聞いたら、
『ぶどう酒は美味しいみたいだけど、パンはあんまり…みたいよ。』
と聞かされたら、余計に食べたくないと思った。
美味しいなら考えたが…。

『お母さんは食べたいけど、何も聞こえなかったから…。何か選ばれる人は神の声が聞こえるみたいよ。“食べなさい。”かなんか。…もうお母さん二回行ってるんだけど、お盆に乗せたぶどう酒とパンが回ってきて、何事もなく隣の人に渡した…。お母さん、神様の声が聞こえるかなぁ~と思ったんだけど、聞こえなくて、もう一回行った。…でも聞こえなかった…。お母さん選ばれなかった…。』
と落ち込み気味でお母さんはそう言った。
『…選ばれたいとか選ばれるかなぁ~とか、そういうの欲だと思うよ。そんな欲のある人間を選ぶかねぇ~。』
と溜息混じりに突っ込んだら、
『はっ、本当ね!!…欲だわ~。そうよ、欲…。通りで選ばれないはずよ…。ということは、来てる人たちってほとんどが証すものの人たちばかりだから、自分は食べられるかもしれないって思って来てると思うから、みんなも欲なのね。通りでみんな食べられないわけだわ…。』
と自分で納得していた。
論点はそこかなぁ~と私の頭に過ったけど言わなかった。