小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

『 アイドル等が求められるシナリオ 』

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「私達ぃ、解散しまーす!」
総勢200名の見習い全て葬り去り、彼女たちは解散することになった。だが、ファンはそれを許さなかった。あまりにも唐突な意見は却下されることとなり、口走ったアイドルは翌日、何事もなかったかのようにテレビの中で笑っていた。

それから3ヶ月後、解散という言葉だけが救いの言葉となり、彼女たちを包み込んだ。どの番組でも、解散宣言をされたそうですね、とのシナリオが組まれていたからである。しかし、本番になると当然のことながら話を振られるその時に、何かが起こるのであった。
ある日は奥から叫び声がし、ある日は電気がガタリとずれた。

どうやら誰かを怒らせてしまったらしい。
誰もが不安になり、解散宣言を口にしたアイドルを責めるようになった。
すると、アイドルAが言った。
「だったら、みんな殺してやる!」

アイドルBが大笑いし、続いてアイドルCと仲間達もゲラゲラ笑った。すかさずそれは、アイドルどっきり番組の企画として放送され、アイドルAの株は急上昇した。

しばらくして、アイドルAが忘れた頃に、アイドルCがいきなりキレ始めて言った。
「みんな殺してやる!」
みんな、ゲラゲラ笑った。ほぼ、合い言葉はウインクで返す的な返しだった。アイドルAは思い出したように眉をつり上げ、言った。
「わたしの言葉、真似しないで!!」
するとアイドルCが隣の人の髪の毛を引っ張り、叫び始めた。


それが、やたらと続くサイクルとなり、「殺してやる!」と12人が言ったその時、社長さんが言った。
「解散宣言、なかなかイケるね」

そんなこんなで解散コンサートの日程と全国ツアーが組まれ、もちろん最終日は東京堂だ。
最終日には変わった企画があるらしいとの噂にファンが詰めかけ、みんな朝から涙涙の大合唱である。
「わたしたち、こんなにいいファンがいて良かったね」

すると、社長さんが来て言った。
「みんなの願いを叶えてあ・げ・る」

全員に良くキレそうなサバイバルナイフが手渡され、説明は特になされなかった。みんな目を丸くして顔を見合わせ、肩をすくめ合った。歌いながらアイドルAはそれを中世の騎士のように振り回した。アイドルBは、舞台袖に投げ、使わなかった。アイドルCは、歌いながら髪の毛をばっさりと切り落とし、大声援を浴びた。

「きゃーーーー!!!」
黄色い歓声に埋もれながら、彼女たちの悲鳴が掻き消されてゆく。
舞台は紅く染まり、アイドルABCの3人が、うつぶせに倒れている。


社長さんは、涙を拭った。
「こんな形でしか、願いは叶えてやれなかった」

他の子達もきっといつか、彼女たちの気持ちが分かる時が来るだろう。
それから社長さんは合図をして、舞台の照明を消した。


夢はいつか醒めるが、眠りは永遠だ。





~ 完 ~