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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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『 MOKUROMI-KYO ~目論見教~ 3.』

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3.
私の名前は表紙にある通り鷹名香騎であるが、過去の名を捨て改名により生きるようになった経緯をまず説明する必要があるように思う。誰かを信じることが、人の平安を生むということは知られていることであるが、私は自分自身以外を信じられぬ人間だった。しかし、ある事実を西群という男から聞いて以来、誰かを仲間にする他ないのではないかと考えるようになった。

その事実は驚くべきもので、誰かに話したら最後、病院か独房へ放り込まれる危険があった。赤ん坊が彼らの意志によって、選び取った母親の元から産まれるというのだ。つまり、赤ん坊は胎児の頃から人の声を聞き、遠くの誰かと取引をして取り違えることなくして母親を替えることが出来るとのことである。西群という男は古文書を手に現れ、私に事細かに説明して去って行き、その後、消息を絶った。私は、何としてでもその証拠を手に入れたいとの願いから、遺伝子研究の名士を数名仲間として取り込むことになり、宗教と福祉を二重の隠れ蓑としながら研究と推測をすることになった。

かといって、宗教や福祉を偽善とするのも私の意志に反することであったため、西群が戻るまでの期間、証拠を手に入れて彼に情報に対する御礼を示すつもりだった。古文書は手元にはなかったが、ある有名な文献からの引用が多く、西群の説明によるとAの母親からBの子供が、Bの母親からCの子供が産まれるといったような具合に出生が行われるそうである。子供は言葉を話す頃には忘れているのか彼らの判断によるものなのか、その事について口にすることはないということだ。

遺伝の研究だけでは説明出来ない分野は全て、宗教という枠組みの中で考えるべき現象と捉えるそうで、私は事実に近づく度に震撼するようになった。当時、私には妻と子が一人ずついたが、私の研究内容を知ると罪の原因を私だと罵り、妻の両親と共に訴訟を起こすと喚きだしたが、その理由は数ヶ月に一度、必ず下腹が妊娠時のように出てくるようになったと言うのである。いつか原因を究明するからと言っても聞いてはくれず、新たに出来たという妊娠線を指差して自分をゴミに変えたのだと泣き、出て行ってしまった。恐ろしいことだと男の貴方は分からないの、女の気持ちなど考えないの、私達の子が別の人の子だという証拠を探しているの貴方は、と彼女は言い、離婚が成立となった出来事である。

私は気を取り直すために研究に没頭するようになった。ある日など、赤ん坊の魂が世の中に漂っているような気がして寒気がしたり、五重塔を見上げて涙する日も増え、自分の出生も果たして正しいのかも分からなくなるほどに動揺していた。仲間は話が神の領域に触れると言って一人が辞めると、残りの遺伝子研究者たちも皆、次々に同じことを口にして去って行った。