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ウサギとカメ

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ウサギとカメ~平成バージョン~

(うさぎ)亀のやろう。あんなノロいくせに脚光を浴びやがって。それもこれもあの忌まわしい競争。そう俺の爺さんぴょん吉さんが亀のジジイの亀吉の野郎に、つい油断して負けてしまったからだ。勝負では完全に勝っていた。あんな亀吉ののろまとは雲泥の差だった。ただ俺たちウサギは早すぎて余裕を持て余していただけ。そしてその余裕からつい…

 だが俺は違う。そう今日は亀の野郎に代々伝えらてた雪辱的な逸話にピリオドを打つ。本当のウサギの速さを、俺達の方が勝っている事を証明してやろうじゃないか。
 そう俺は今日亀の野郎に勝負を挑み、必ず勝つ。

亀見てろ。あの丘まで俺と勝負だ。そして必ず俺が勝つ。見てろ。俺達のレベルの高さと余裕を。よし。全力疾走だ。
―よーいどん―
ぴょん、ぴょん、ぴょん

あーなんだ。もう亀の野郎があんなに小っちゃく見える。つまらない戦いだったなあ。もうすぐゴールだ。ああつまんねえ。つまんねえ。そうだここらでちょっと一休み。余裕を見せつけるため昼寝でもするか―――っと待てよ。俺はぴょん吉爺さんのようにはいかねえ。危ねえ。危ねえ。昼寝をするんならちゃんとスマホにタイマーをセットしくれぐれも寝過ごさないようにしないとな。さて寝るか。
ぐうぐうぐう
♪~☆◆〇★ДЙ●~♪~~~
もうこんな時間か。でもまだ亀の野郎は全然来てないし。眠いしあと5分。自動的に5分後にスマホが鳴る。
ぐうぐうぐう
♪~☆◆〇★ДЙ●~♪~~~
まだ眠い。あと5分。
ぐうぐうぐう
♪~☆◆〇★ДЙ●~♪~~~
眠い。あと5分。
―――クリアーキー長押しでスヌーズが解除されました―――
ん?なんだ?まあいいか。あと5分。5分後に必ず起きるぞ――

(one hour later)
作品名:ウサギとカメ 作家名:松橋健一